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クジラの歌

生物多様性の理解と動物福祉の向上を目指して。

女性ならではの世界を作り上げる女性作家とそのおすすめの小説3選

最近、女性が書いた小説を読んではっとさせられることが多い。

 

しかし、正直に言ってこれまではあまり女性が書いた本を読んでこなかった。

読んだことがある人でぱっと思いつくのは、宮部みゆき、有川浩、よしもとばななくらいだ。

年間100冊程度は本を読んでいることを考えると、如何に女性の書いた本に接する機会を持ってこなかったのかということが分かる。

実際に、女性の書いた小説の中には非常に甘ったるい恋愛要素が含まれていたりして、そういうことが女性の書いた本を避けてしまう原因になっていたのだと思う。

だが、それは女性の書いた本が悪かったのではなく面白い作品にあまり出会えなかったか、出会うべきタイミングに出会えていなかっただけなのだと気付いた。

 

実際、最近読んだ女性の作品においては、その感覚の繊細さや感情表現の豊かさ、留まることをしらない想像力に圧倒されるばかりだった。

だから、今回は是非女性作家の魅力に触れてもらいたいと思い紹介する。

 

綿矢りさ/蹴りたい背中

聴こえるものと目に見えるものの表現が常人離れしている。

蹴りたい背中の冒頭はこうだ。

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締め付けるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。細長く。細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。

こんな文章をどうやったら思いつくのか。どのように世界を眺めればさびしさの音が聴こえてくるのか。

綿矢りさという人の感受性に圧倒された。直感的にだが、男性には感じられない世界の魅力が綿矢りさの蹴りたい背中には詰まっているように感じた。

女性の感性の繊細さを感じさせてくれた一冊。

そして、史上最年少19歳での芥川賞受賞作。

 

 

恩田陸/夜のピクニック

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという伝統行事である。

小説の構成もシンプルでただ歩くだけ。途中に事件が起こるわけでもないし、歩く以外のイベントが用意されているわけでもない。

ただ、歩行祭に参加している高校生たちの想いがとてもみずみずしい。

歩行祭という舞台を設定し日常の雑音を究極的なまでに取り払うことで、彼らの心情にとことんまで向き合うことが出来ている。

そうすることで求められるのは、その心理描写にどこまで共感を得ることができるかということだと思うが、本屋大賞を受賞するほど多くの人に支持されていることが、恩田陸の心理描写の素晴らしさを裏付けているのだと思う。

誰かが死ぬわけでもない。燃えるような恋があるわけじゃない。でも、そんなものが無くても小説や人生は成り立つのだと教えてくれる。

高校生や大学生に読んでもらいたい一冊。

 

 

モンゴメリ/赤毛のアン

少なくとも名前だけは聴いたことがあるのではないだろうか。

超有名古典文学を紹介したい。

ちょっとした手違いから、グリン・ゲイ部留守の老兄妹に引き取らたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた二人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく---。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起こす愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織り込まれた永遠の名作。

単行本にはこのように紹介されているが、アンにとって最も重要な言葉が抜けている。

それは、アンが近所の意地悪なおばさんに、顔はそばかすだらけ。髪の赤さを人参と言われた時のことである。(アンは自分の髪の毛が赤いことを非常に嫌っている)

もしあなたがそんなふうに言われたらどんな気がするの?でぶでぶふとって、ぶかっこうで、たぶん、想像力なんかひとっかけもないんだろうって、言われたらどんな気持?これであんたが気をわるくしたって、あたしヘイチャラだわ。わるくしたほうがいいわ。

そう、アンにとって非常に重要なことは想像力なのである。それは彼女が人生を楽しむために誰よりも磨いてきたことなのである。

近所の池や道のことを『輝く湖水』や『歓喜の白路』と名付け、牢屋に閉じ込められて誰かが助けにきてくれることを想像して現実世界のパイを焦がしてしまうアン。

赤毛のアンに登場する愉快なエピソードのほとんどすべてにアンの面白おかしい想像が詰まっている。

想像力が人生にとっていかに大切で、いかに人生を彩るのかということを教えてくれる一冊。

この本も女性ならではの視点で描かれたものだと思う。全ての人に読んでほしい一冊。

 

まとめ

私が最近読んだ女性作家の3冊の本を紹介した。

特に女性ならではの魅力が詰まった本を紹介したつもりだ。

これを機に女流作家の作品も手に取ってもらえるようになればきっと小説世界が深みを増すと思う。