満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

日本では何種類のカラスが観察されたことがあるか知っていますか?【感想:カラスの教科書】

何かを知れば知るほど世界の見え方は変容していきます。

 

一杯のコーヒーを前にしても、

化学や物理を知っていれば、そこに分散という物理現象を感じ、

地理を学んでいれば、どこから運ばれてきたのかを知り、

英語を学んでいれば、a cup of coffeeと言える。

 

そう考えたときに、カラスのことを深く知っていれば、

目の前に広がる世界は今までと全く違って見えてくると思いました。

 

なので、買いました。

カラスの教科書。

 

どんな人が書いた本?

松原始という京都大学大学院にて動物行動学について学んだ方の本。

現在は、東京大学総合研究博物館勤務とのこと。

カラス愛がやばい。カラスオタク

 

カラスという鳥はいません

日本で観察されたカラスは何種類いると思いますか?

 

答えは、7種類。

 

日本で最も目にするカラスが①ハシブトガラスと②ハシボソガラス

冬鳥として全国の農耕地に渡ってくる③ミヤマガラス

ミヤマガラスの群れの中に凄く小柄でかわいいのが混じっていたら、④コクマルガラス

非常に珍しい冬鳥である⑤ワタリガラス。日本では基本的に北海道の道東・知床にしか来ないうえに数が少ない。世界最大のカラスであり、ユーラシアから北米に広く分布し、世界中の神話に登場する神秘の鳥である。

 

以上の5種が多寡はあるものの日本に分布するカラスで、後は迷い鳥である。

どこをどうまちがったかヨーロッパから来てしまった⑥ニシコクマルガラス

東南アジア辺りから貨物船に乗ってきたか、船で買われていたのが逃げ出したらしい⑦イエガラス。

 

これらが日本で観察されたことのあるカラス7種だそうです。

 

日本でよくみられるポピュラーなカラスは二種類

ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」です。

まずは画像を見比べてみてください。

ハシブトガラス

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ハシボソガラス

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画像は共にwikipediaより引用

 

なんか顔違いますよね!!!

この写真で一番見分けやすいのはやっぱり名前の由来にもなっているクチバシのカタチでしょうか?

やっぱりハシブトの方がクチバシが太い。あとは、ハシボソの方が顔の毛がツルンとしていますね。

見れば見るほど顔の違いに気付きます。

 

ただ、これまでの人生でカラスを見分けようとしたことはありましたか?

 

私はありませんでした。というか町にいるカラスに種類があるなんて考えたこともなかったです。

 

これを知っただけでも世界の見え方が少しかわったのではないでしょうか。

(ちなみにバードウォッチングの世界ではスズメの種類を見分けられたら一人前という格言のようなものがあるそうです。スズメも私には見分けられませんが。。。) 

 

内容をざっくり紹介

第一章 カラスの基礎知識

第二章 カラスと餌と博物学

第三章 カラスの取り扱い説明書

第四章 カラスのQ&A

これらが350ページにわたって繰り広げられます。

めちゃくちゃカラスに詳しくなります。

 

それでいて、これが最も魅力的なのですが文章が全く堅苦しくないです。

学者が書いた本と言うよりも、オタクが書いた本という方がしっくりきます。

カラス愛ゆえに擬人化をして、カラスに結構しゃべらせます。

カラス「おい何見てんだ」「お前だよおまえ」「さっさと出ていけ!」「まだわからんのかコラ」みたいな。

また、本書の表紙を手掛けいている方のイラストが3ページに1つくらいの割合で挿入されていますので、よりとっつきやすくなっています。

 

Q&Aコーナーの紹介!

素人と専門家のQ&Aのやり取りが大好きです!

この本にもそれがあるので紹介します!

ただ、Answerの方まで載せると怒られそうなので、個人的に気に入ったQuestionの方だけ紹介します!

 

①カラスってみんな真っ黒なんですか?

→これだけは、コクマルガラスで検索してみてください!きっと驚きます!

 

②カラスは人間の顔を識別できるのですか?

 

③カラスって食えるんですか?

 

④カラスの死因のベスト5は?

 

まとめ

どうでしたか?

本書を手に取ってみたくなったでしょうか?

 

私はこの本を読んでから、外に出ると必ず空を見上げてカラスがいないか、

探すようになってしまいました。笑

本書にも書かれていますが、都市にカラスが生息しているということは非常に珍しいことのようです。

そんな隣人をより一層理解するためにも、是非読んでみてはいかがでしょうか?

 

私は実際にこの本を読んでからというものカラスを見るたびにテンションが上がります!

まだ見分けられませんが。

 

最後に著者の優しい言葉を引用させて頂いておわりにしたいと思います。

「この本をお読みいただいた方のカラスを見る目が、明朝は少しでも優しくなることを願ってやまない。」

 

カラスの教科書 (講談社文庫)

カラスの教科書 (講談社文庫)

 

 

 動物行動学の不朽の名作『ソロモンの指環』はこちら。

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

 

 

以前に少しだけソロモンの指環という本のレビューをしておりますので、

動物行動学に興味のある方はこちらもあわせてご参照頂ければと思います。

caffeyne.hatenablog.com