満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

【感想】保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと/片野ゆか

片野ゆかさんは日本の不幸な動物たちを救うために活動しておられるライターです。

 

これまでにも熊本県の動物殺処分ゼロプロジェクトに密着した本や、動物福祉の向上に目を向けつつある動物園のノンフィクションを執筆されてきました。

ゼロ! 熊本市動物愛護センター10年の闘い (集英社文庫)

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動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー

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 今回は、その片野ゆかさんの保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいことという本を紹介します。

時系列的にいえば、先に紹介した2冊の本よりも先に出版された本です。

ちなみにご自身も保健所から犬を引き取って共に暮らしています。

 

片野ゆかさんの本について

動物福祉とか動物愛護とかそういうことに触れるとどうしても愚かな人間の行動に目が向いてしまいます。

でも、片野ゆかさんは恐らくそういったことを理解したうえで、他者を貶めるようなことは絶対に書きません。

どこまでもポジティブに、建設的に、具体的に、動物福祉を向上させるために何を行うべきかということを示してくれます。

だから、動物福祉に興味を持ち始めた人が最初に読む本としてはふさわしいのかもしれません。

 

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと

この本は内容的にはいわゆるハウツー本になるのかもしれません。

以下に内容を列挙します。

 

・どこに行けば保健所犬に会うことができるのか

・犬を飼うにあたってどれくらいの費用が必要なのか

・子犬ではない成犬の保健所犬を暮らすメリットとは

・保健所犬の飼い主になるにあたってなぜ厳しい審査を動物愛護団体から受けないとならないのか

・二度と自分の飼い犬を保健所犬に戻さない方法

・ペットの災害時対策

・保健所犬の飼い主になって思うこと

 

こうやって書くと無機質で堅い本のように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。

新たな犬生を歩きだした保健所犬の写真がたくさん掲載されています。

また、片野ゆかさんの精力的な取材のなかで見られた人と人、人と犬、犬と犬の交流の姿が本書のなかにもたくさんちりばめられています。

 

その一つが白内障が信仰してほとんど目が見えなくなった老齢犬を引き取った人のエピソード。

「残り少ない犬生を温かい場所で過ごさせてあげたい」という思いから引き取ったとのことでした。

こんなに優しい人がいるんだと感銘を受けたエピソードです。

 

これらがこの本を温かいものにしています。

 

まとめ

本書のタイトルは保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこととあります。

ですが、私は可能であればこれから動物を飼いたいと思っている多くの人にこの本を読んでみてほしいと思います。

今、犬を飼っている人にも読んでみてほしい。

 

なぜならこの本は単純なハウツー本ではないから。

この本が教えてくれることは動物の愛し方です。

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと

 

 

参考

過去に片野ゆかさんの本のレビューをしています。

興味のある方は是非こちらも参照してみてください。

caffeyne.hatenablog.com

 

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