満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

【君に友達はいらない】ブログによるフリーランスを目指す人に絶対に読んでおいて欲しい本

今回、紹介するのは瀧本哲史さんによる『君に友達はいらない』という本。

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない

 

先に瀧本さんのことを少しだけ紹介すると、瀧本さんの職業はエンジェル投資家というものだ。

エンジェル投資家というのは、個人的に自分の「持ち金」を、「事業アイディア」と「創業者」しかいないようなきわめて初期ステージのベンチャー企業に投資するという仕事だ。

 

さて、挑戦的なタイトルの『君に友達はいらない』という本について紹介していきたいと思う。

本書は基本的には仕事や目標を達成するに当たってどのような『仲間』が必要なのかということについて述べられていく。

ある時には、黒沢明の7人の侍を例に出したり、ワンピースの仲間模様を分析したりすることで、今の私たちにどうあるべきかということを示してくれる。

 

しかしながら、私が今回フリーランスを目指す人に紹介したいのはその仲間についての本流の話ではなく、本書の中で余談として語られる部分だ。

以下に紹介していく。

 

昨今ではノマドとやフリーランスと称する働き方が若い人たちの間でもてはやされる風潮がある。

・・・

だが本質的にノマドやフリーランスは「強者」にのみ許される働き方であることに注意しなければならない。

そもそもノマドの語源でもある「遊牧民は」、人類が狩猟採集の時代の後に、農耕と牧畜を生み出して(オアシスに)定住して生活するようになってから発生した暮らし方だ。牧畜によって暮らす集団が一箇所に定住し続けると、やがて家畜がその周辺の牧草を食べつくしてしまうために、継続的に家畜を大量に養うことが出来ない、そのために家畜を放牧しながら、牧草を求めて移動する生活様式が生まれた。これが「ノマド」の起こりである。

だが、家畜を放牧しながら、移動して暮らすことには大きなリスクもある。家畜を柵で囲っておくことが出来ないために、オオカミなどの害獣に家畜を襲われることもあるだろうし、泥棒に家畜を盗まれる危険にも常にさらされるからだ。

なので、著者はノマドになるためには安定したオアシス(会社)を離れられるだけの牧畜のスキルや肉体的精神的強さが求められるという。

これが、ノマドやフリーランスが「強者」にのみ許される働き方という第一の理由。

また組織を離れたがる人が見過ごしがちなのが、組織にいるときに業務を通じて自然と入ってくる情報や、得られる人脈の価値だ。フリーランスになると自分の身の回りの範囲のこと、今手掛けている仕事の情報しか入ってこないために、自分が働いている業界で、どんなものが求められていて、何が時代遅れとなりつつあるのか「鼻」がきかなくなっていく。この感覚の鈍化は、1年2年では、はっきりとは分からないが、数年経つと取り返しのつかないギャップになることがある。

これが第二の理由。

また「フリー」という肩書で働いていても、本当に「フリー=自由」であるかと言えば、そうとは言えない人もすくなくない。フリーの物書きのなかには、読者の期待に振り回されて、どんどんセンセーショナルなことを書いていくうちに自滅していったり、いつの間にか企業の「謎の宣伝等」になっていったりする人がいる。逆説的だが、「本業」を別に持っている書き手の方が、真に自由にものを書けるということが少なくないのだ。

これが第三の理由。

最後に著者はこう結論付ける。

ノマド、フリーランスとして働きたいのであれば、自分が今いる会社を辞めて、それでも自力で本当に競争力があるサービスを提供できるか、それとも企業にとって「使い捨てできて都合のよい期間工のような人」で終わるか、客観的に見極めることが重要だろう。

 

私は、動物福祉ということを多くの人に認知してもらうためにブログを書いている。

正直、今動物たちが置かれている状況に関しては多くの人が目をそむけたいと思っていることだろうし、動物福祉の本を読むのは辛いし、それをブログで紹介しても検索流入なんてほとんどない。

こんな私がフリーランスになれば収益のことばっかり考えて動物福祉のことなんか書いてられないのは簡単に想像できる。

 

きっと、私が今フリーランスになったら、「20代で絶対に読むべき漫画をランキング形式で紹介するよ」とか「掃除嫌いの人にお勧めの電化製品はこれだ!」みたいなタイトルの記事を量産すると思う。(別にそれらを書きたくて書くのであれば問題ない。)

そして、効果的に買ってもらえるような商品紹介の配置を必死に考えたりする。

それは、私の描くフリーランスの理想の姿ではないし、ブログを始めた多くの人にとってもそれは理想の姿ではないと思う。

 

フリーランスになって適当にお金を稼いで、のんびりできればいいという人はフリーランスを目指してもいいと思うが、何か伝えたい事があるならばフリーランスはお勧めできない。

そのことが非常に論理的に記載されていたので紹介した。

 

上に紹介した本書の内容はどこかの会社に務める偉い人が書いた本ならば反発したくなる気持ちも湧いてくるとは思うが、本書はエンジェル投資家によって書かれている。

繰り返すが、エンジェル投資家というのは、個人的に自分の「持ち金」を、「事業アイディア」と「創業者」しかいないようなきわめて初期ステージのベンチャー企業に投資するという仕事だ。

すなわち、多くの場合、事業アイディアのみを持つ若者の味方になって若者のために尽力している人が書いた本である。

だから、きっと素直な気持ちで読めるはずだ。

もし、フリーランスを目指すことを検討している方がおられたら、絶対にこの本は読んでおいたほうが良い。

 

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない

 

 

エンジェル投資家については、「大様達のヴァイキング」という超面白い本があります。エンジェル投資家についていまいちイメージがわかなかった人はこの本を読めば絶対にわかります。そんな生真面目な気持ちじゃなくても面白い本なので、是非こちらも読んでみてください。

王様達のヴァイキング 1 (ビッグコミックス)

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