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クジラの歌

生物多様性の理解と動物福祉の向上を目指して。

【感想/海岸列車】本と出合うタイミングの妙を考える【宮本輝】

読書

宮本輝さんの海岸列車という本を読みました。

 

海岸列車 (上) (集英社文庫)

海岸列車 (上) (集英社文庫)

 

 

 

本屋にて平積みされていたので、

最近出版された本だと勘違いしていましたが、

なんと1988年から連載され始めた作品でした。

 

勘違いには2つ理由がありまして。

 

一つ目は、私は宮本輝という作家からとてつもない日本人愛を感じます

その愛ゆえの失望や憂いが登場人物から語られます。

一部、抜粋しますと。

「おい、日本よ。そんなになんでも金で買えると思わないでくれ。

この世界の中で下品な成り金の役割を演じないでくれ。」

 

現代の日本のことと重ねて語らせているのかと勘違いしてしまいました。

まぁ、そういう一面があるからこそ再度文庫化されたのではないかと思いますが。

 

もう一つの勘違いの理由としては、私は高校生くらいのころから、

宮本輝の作品にはたくさん触れてきました。

家には、『優駿』という小説がありましたし、

青が散る』や『錦繍』という小説も大好きだからです。

追手門大学にある宮本輝記念館にも何度か足を運びました。

 

それくらい宮本輝ファンなのです。

 

そんな私が、こんなに素晴らしい長編小説を見逃していたとはという点です。

 

それと同時に、

今この瞬間にこの作品に出会えたということも非常に重要であり、

宮本輝の言葉を借りると運命なのかと感じました。

 

 

宮本輝は母親に勧められて読み始めました。

 

自分でない人生を体験できるということが私にとって非常にエキサイティングであり、

はまりこんでからは、宮本輝作品を図書館で借りてきては読みあさっていました。

 

そんななか、母親に言われた言葉を鮮明に覚えています。

「もっと大人になってから読んだ方がいいのにな。」

 

今の今までそんな言葉忘れていましたし、

そんな言葉を全く信用していませんでした。

 

でも今ならわかります。

海岸列車という本を今読んでよかったです。

 

宮本輝という作者は、傷ついた人を書かせたら天下一品だと思います。

どんな作品にも傷の浅い深いはあれ、

悲しい過去・辛い現実を背負った人々が出てきます。

 

 

学生のころよりも自分と彼らを照らし合わせられる自分がいました。

妙な説得力を持って彼らの言葉が体に入り込んできました。

 

 

様々な生き方があり、様々な物の見方が存在します。

 

この小説の主人公の兄は、

金持ちの中年女のヒモとなって、働かず、

腕には当時の値段で三百万円もするティファニーの時計をしています。

 

自分で言うのもなんですが、

真面目に現代社会で求められる王道を歩んできた私にとって、

それらは全て邪道です。

 

でも作中では、

 

金持ち女のヒモを務めるなんて、

忍耐力、体力、外交術、それに相当な心理分析力も必要だ。

彼はファイターだ。

 

と称されています。

 

私はまだまだ子どもでこの清濁入り乱れたものの見方は生まれません。

だからこれから学んでいく必要があります。

 

 

やはり、私には小説が必要で、迷って悩んでいるときにこそ、

響く物語があるということを初めて認識しました。

 

 

小説の感想を書くのは苦手なんですが、いつも読んだ後は気分が高揚していて、

こうやってアウトプットしてみたくなります。

 

まだまだ文章は下手くそですが、今後ともお付き合い頂ければと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。