【感想/ありがとう実験動物たち】実験動物飼育員という仕事を知っていますか?
以前、動物実験に関する記事を書きました。
動物実験に関する本を一冊読んだので、そのことについて今回は述べます。
読んだ本はこちらです。
この本を読むまで、私の勉強不足・想像力不足の致すところですが、
動物実験の事なんてほとんどわかっていなかったことを思い知らされました。
知ったことを書いていきます。
動物実験には大別して、二つあります。
①医療・健康のために人間の身代わりになってもらって、
ある物質が人間に有用なのかリスクがあるのか判断する実験。
薬の実験をイメージしてもらえばいいと思います。
②身体的なもの。
本書で述べられていたのは、『出血しにくいメス』の開発に、
ミニブタの肝臓が用いられているとのことでした。
あとは、新人教育のため動物の体を切開して経験を積むというものでした。
こういう犠牲の上に我々の健康や安心は成り立っています。
正直、iPS細胞が開発されて、
①による犠牲は少し減っていくのかなと思っています。
私も門外漢なので詳しくはありませんが、
アルツハイマー病の原因究明のためには、
アルツハイマー疾患を持った遺伝子組換生物(マウスなど)を作製して、
それらの個体を用いて実験が行われています。
しかし、iPS細胞はダイレクトにその疾患を持った細胞を作製出来ます。
細胞実験と動物実験は本質的には違いますが、
細胞実験の意義が大きくなることによって、
①による動物実験は減ってほしいと願っています。
でも、②の問題はiPSじゃどうにもなりません。
実際に死ぬかどうかの病気に瀕した際に、
少しでも腕のいい外科医に担当してもらいたいと思うことは当然だと思います。
そう思う限り、②の問題は難しい。
動物実験を減らしたたいと思っているのは私だけではありません。
学会も存在します。
この本は、児童書の体をなしていて非常に読みやすいです。
そして、この本の主人公は「テル」と呼ばれる実験動物の飼育員さんです。
彼女は、実験動物に対する思いやりと、
実験動物たちによりよい環境で過ごしてもらうための工夫によって、
文部科学大臣から「創意工夫功労賞」が送られています。
個人的には、そのような場所で奮闘する方の存在を知って、
なんとなく心強くなりました。
テルさんだけでなく、実験動物に携わる様々な方の葛藤も描かれています。
もちろん本書に書かれていることが全てとは思いませんし、
中立の場所から書かれた本とも思いません。
ただ、飼育員という職業と立場とその想いを知る上で、
いい本だと思い紹介しました。