満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

どうすれば進化の過程で毒を獲得できるのか

ワンピースのマゼランといえばドクドクの実の能力者の毒人間。

彼を見ていて思ったのですが、後天的に毒を獲得するってどういうことなのでしょうか?

毒晴れてるけど基本的にはタンパク質だったりするみたいなので、その大元は遺伝子になるばず。

となると、遺伝の際の遺伝子のエラーが毒の獲得に直結していると考えられますよね。

病原性大腸菌のO-157がこんな感じなんだと思う。

でも、他方で昔っから日本人の食卓に潜り込んで、種を存続させることに成功させた(海外と大阪ではまだ成功していない)納豆菌が毒性を持ったなんてことは聞いたことがない。

 

話はすこしそれるが、私は大学院での研究対象が納豆菌の仲間の枯草菌だった(学術名はBacillus subtilisであり、納豆菌の学術名はBacillus subtilis natto)。実はこの枯草菌は大腸菌の次くらいに研究されている非常に有名な菌で、この生物の遺伝子組み換えによって世界に溢れる様々な有用物質が生産されていたりする。

有名すぎて枯草菌学会なんてのも昔にあったみたい。それで、そういった会議では『枯草菌は古くから人と共に歩んできており、毒素を発生させないので安全な菌である』というフレーズをよく耳にする。

理由はよくわからないが枯草菌も納豆菌も安全ということは学者の証言でもある。

 

こうやって考えると、大腸菌のような後天的に毒素を獲得できる生物はもともと毒素の遺伝子を持っているが、それが発現していないだけであり、遺伝子のエラーによってその眠っていた遺伝子が機能するようになるという考えが正しいような気がする。

他方、納豆菌のような生物は毒素に繋がるような遺伝子を全く持っていないんだろうと思う。

だから基本的には毒に繋がる遺伝子を持たない生物はずっと毒を持たないのだろうと思う。

 

微生物の特徴の一つは、その世代交代の驚異的な早さ(枯草菌は好条件下であれば20分に一回のペースで細胞分裂できる。)であり、そのことで遺伝子のエラーが起こりやすくなっている。

人は一生のうちに数回しか子を産まないことを考えると、同じ期間で考えたときに遺伝子のエラーの起こりやすさに天と地ほどの差があることがわかると思う。

 

ただ、私は私のクローンを1000万回でも何回でも世代交代させ、遺伝子のエラーを引き起こしたとしても、自分が毒を持つとは思えない。

キルアみたいに毒を接種し続ける人種がいれば、その種族は毒を発生できるようになふのだろうか。

 

ちゃんと調べればすぐにわかるようなことを、だらだらと考えてしまった。

八重洲ブックセンターに平積みされていたこの本でも読んでみようか。


 毒々生物の奇妙な進化

毒々生物の奇妙な進化