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社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

獣医学ではない動物好きのための学問、動物行動学を知っていますか?

以前に、獣医学の抱える問題について紹介させていただきました。そして、記事中で獣医の方の書いた本を紹介させていただいたところ、その著者の方にリツイートしていただき、twitterで少しやり取りもさせていただきました。

caffeyne.hatenablog.com

非常に残念なことですが、獣医学部は動物の病を治し命を救うことだけを学ぶ学問ではありません。でもそのことは知らなければならないことだと思います。

 

今回は動物に関する学問でも獣医学以外のものを探している人のために記事を書きました。

本題に入る前に私の考える獣医学部の問題について、振り返りたいと思います。

 

 

獣医学部の問題

私の考える獣医学部が抱える問題とは、日本ではその教育課程において動物実験がほぼ必須であること。そして動物実験は結果として動物を殺すことが非常に多いということです。

動物が好きで動物を救いたいと思った学生たちにつきつけられる動物実験は非常に学生の心にトラウマを残すものです。私も獣医学部ではありませんが、動物実験を必修の授業で行ったことがあり、その辛さはやはり心に残っています。

そしてその動物実験が日本の動物倫理に与える影響というものは少なくないと思います。具体的にいうと、動物が好きで動物を救いたいと思っていた学生が、動物実験に慣れていまい(感覚を麻痺させてしまい)、結果として動物福祉の向上に務めることができなくなるのではと考えています。

そういったことを防ぐために、海外の獣医学部には動物実験を行わずに獣医師免許が取れるような過程もあるそうです。

日本もそのような獣医学部があってしかるべきなのは間違いないです。

※最後に紹介させていただきますが、山口大学がそのような獣医学部に向けてチャレンジしています。

 

動物と関わる学問は他にないのか?

では、動物が好きな人にとって動物のために行える学問はないの?という疑問が当然出てくると思います。

動物に関連する学問で真っ先に思いつくのは畜産学かもしれません。でもこれは食肉用の学問であり、動物のことを思った学問ではないのが現状です。

私の大学の畜産学関係の研究といえば、旨味の強い牛肉の開発などでした。動物好きの人が目指すところじゃないです。

 

「じゃあ、やっぱり獣医学部しか動物のための学問はないの?」という意見があると思います。

そんな人に是非知ってほしいのが動物行動学という学問です。多くの人にとっては聞きなれないものでしょう。

ですが動物行動学は、動物福祉の機運の高まりと非常にマッチした学問であり、これからますます発展していく分野の学問だと信じています。

また動物行動学は、世間的な期待度も低いように感じるかもし得ません。でも実際には動物行動学でノーベル賞を受賞した人がいます。皆さんもご存知の鳥が生まれて初めて目にしたものを親と思いこむ『刷り込み』という現象はローレンツというノーベル賞を受賞した動物行動学者が発見したものでした。

 

動物行動学とは?

動物行動学とは動物たちの行動や社会性を追求する学問であり、現在ではそれらを通じて動物たちの心を科学的に解明しようとする学問のことです。

動物に関する様々な逸話や科学的検証をもとに、動物たちの人間に勝るとも劣らない感情世界を解明し、種を超えた共存に向かうための学問です。

多くの人にとって、また動物を愛したことのある全ての人にとっては、動物たちが感情を持ち、愛情、憎しみ、喜び、寂しさ等の感情を大いに示すことは疑いの余地がありません。

 

しかし、残念ながら動物は環境の刺激に反応しているだけの機械のようなものにすぎないと本気で信じている人が科いまだいます。

そう信じてはいなくても動物たちをもののように扱う人はいます。ですが動物行動学はそのような考え方を覆し、動物の地位を向上させる可能性を秘めた学問です。

おそらく動物の地位向上を志して獣医学部に入る学生もいると思います。その結果、動物実験に絶望する人も一定数以上いるはずです。

その理由は何故なら獣医学部はあまりにも有名であり、動物行動学はあまりにもマイナーだからです。

そんな学問のミスマッチがをなくすために、この記事を書きました。

 

動物行動学に関係する本

動物行動学を簡単に理解するためには一般向けに書かれた本を読めばいいです。

僕もそうやって動物行動学を理解しました。

 

まず紹介するのは動物行動学でノーベル賞を受賞したローレンツの『ソロモンの指輪』という本です。

ソロモンの指環とはソロモン王が持っていた動物たちと心を交わすことができるという魔法の指輪のことです。そして動物たちと暮らしていたローレンツはそんな指環などなくても動物の心がわかるとして本を書きました。

この本ではたくさんの動物たちと寝食を共にしたローレンツからみた動物たちの世界が非常に魅力的に、そしてわかりやすく描かれています。

小学生でも読めるような作品であり、小学生から高校生の間に読んでいたら僕の生き方が変わっていたかもしれないと思う一冊です。

この記事を読んで少しでも動物行動学に興味を持っていただけたら、この本だけは絶対に読んでみてください!

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

 

 

犬に特化した動物行動学の本なら、同じくローレンツが書いた『人イヌにあう』という本もお勧めです。ローレンツの飼い犬に対する深い愛情と鋭い洞察が、分かりやすい文章で描かています。この本を読めば、飼い犬への愛情が深まること間違いなしです。

人イヌにあう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

人イヌにあう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

次に紹介するのが『動物たちの心の科学』という本です。『ソロモンの指環』よりも最近書かれた本であり、動物行動学が明らかにしてきたことを知ることが出来ます。

『ソロモンの指環』が日常から見た動物行動学なのに対して、こちらの本はより学問として確立された動物行動学なので、これから動物行動学を学びたいという人には是非読んでみてもらいたいと思います。

動物たちの心の科学 仲間に尽くすイヌ、喪に服すゾウ、フェアプレイ精神を貫くコヨーテ

動物たちの心の科学 仲間に尽くすイヌ、喪に服すゾウ、フェアプレイ精神を貫くコヨーテ

 

 

日本で動物行動学が学べる大学

最後に日本で動物行動学が学べる大学を紹介します。

京都大学理学研究科動物行動学研究室

動物資源科学科 動物行動学研究室/北里大学獣医学部 (こちらは獣医学部所属です)

日本大学 生物資源科学部動物資源科学科

琉球大学・動物生態学研究室

 

理解してもらいたいのは、日本には動物行動学を学べる研究室は獣医学部以上に少ないことです。その結果、自分の関心のある動物の研究をできる可能性はさらに低くなります。

紹介した研究室の中にも動物ではなく昆虫などの行動を研究する研究室もあるので、本当に学びたいことができるのかどうか最低でもHPはチェックしてください。

他にできることとしては①研究論文を見てみることと、②オープンキャンパスなどに足を運んでみることです。

自分の人生を決める上でこのブログにたどり着いてくれたと思うので、ぜひ最良の選択をしていただければと思います。

 

生体実験のない獣医学部の誕生

そんな中、山口大学が生体実験を行わない獣医学部への改変に向けて動き出しました。

動物実験は嫌だけど獣医学部には興味がある。という人はぜひチェックして見てください。

日本でも動物の生体を使わない獣医学部が生まれるかもしれない!!! - animal reading