こんな調査結果を知っていますか?
鳥類がエサと間違えて人工の物質を誤飲しています。
鳥って歯が無いので基本的にエサを丸飲みじゃないですか。
そういうエサの認識能力の低さが悲劇を招いているのかも知れません。
そもそもプラスチックの何が問題かって、生分解性がほとんどないことなんですよね。
もちろん鳥類の胃の中でもプラスチックが分解されることはありません。
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そんな中、京都工芸繊維大学の面白い研究結果が
超一流科学雑誌のscienceに掲載されました。
リンクはこちら。(scienceのページに飛びます。)
A bacterium that degrades and assimilates poly(ethylene terephthalate) | Science
簡単にタイトルを和訳すると、
「ポリエチレンテレフタラートを分解しエサとする微生物」
です。
ポリエチレンテレフタラート(以下、PET)とは、ペットボトルの主原料です。
ほとんどすべての生物が分解することが出来ないと考えられていた
PETを分解する微生物を発見したという点で、この研究は画期的なんです。
ちなみに、堺市で発見されたことから、学術名は
「イデオネラ・サカイエンシス201-F6」です。
ちゃんと論文にも「Ideonella sakaiensis 201-F6」と記載されています。
この微生物は、堺市のプラスチック関連工場の敷地から発見されたとのことです。
この微生物の発見の方法って珍しい方法じゃないんですよ。
例えばアンモニアを分解する微生物を探す場合には、
アンモニア製造工場の周辺を調査します。
工場の敷地には微量のアンモニアが含まれており、
そこにはアンモニア分解微生物がいることがあります。
なぜそこにいるのかはわかりません。
アンモニアを認識して寄ってくるのか。
そこに今までいた微生物がアンモニア分解機能を得るのか。
話がそれました。
この研究の目的はおそらくPETの高効率分解です。
この研究は海鳥を救うために行われているわけではありません。
1962年に沈黙の春という名著を書いたレイチェル・カーソンは、
化学的農薬使用の招く悲劇を訴え、害虫・害獣に対しても農薬を使用するのではなく、
それらに対する天敵を導入することで生態系の破壊を防止しようと呼びかけました。
ただ、実際そうもいかないもので。
琵琶湖のブラックバス問題を考えてもわかるように、
外来種の導入は時に生態系を破壊します。
ゆえにこの微生物が海辺に無造作にまかれることは無いでしょう。
と、まぁ見当違いな解説をしました。
ただ、今後に期待できる部分はあります。
既に酵素の解明もできているということなので、
おそらく遺伝子の解明まで済んでいることでしょう。
遺伝子の解明が済んでいるとできることはたくさんあります。
①劣悪な環境でも生育できる微生物に遺伝子を導入することもできます。
②遺伝子の機能を強化することもできます。
③他の微生物の探索にも役立ちます。
これらを応用することで、地球環境の改善にまで持っていけないでしょうか。
誰かアイデアは無いでしょうか。
遺伝子の機能の活用とかとは別の考え方ですが、
海に漂流するゴミにのみ付着するシートを開発し、
そこにPET分解菌を付着させておけば、
漂流するゴミの分解なんかもできるような気もします。
漁に用いる魚網にこの微生物を含ませておくとか。
アイデアが全く浮かびませんが、せっかくいい研究なので、
工業的利用に留まらず、地球環境の改善にまで応用できればいいなと思います。
素晴らしい日本の大学の研究ですので、
興味を持って今後の動向に期待しましょう!
話の本流ではありませんが、
海洋ゴミの回収プロジェクトを18歳の少年が立ち上げています。
英語がわからなくても見れる内容になっています。
4分ほどの短い動画になっていますので、関心のある方は是非どうぞ。
学術論文の検索方法について記事を書きましたので、
興味のある方は是非!
また、他の日本の研究紹介も行っています。
良ければ読んでみてください。