本がどのように出来上がるか知っていますか?
出版社ごとの書体の違いに気づいたことはありますか?
どこに職人の魂がこもっているか気にしたことはありますか?
そういったもののほんの一部かもしれませんが、知ることができる本があります。
本を作るという仕事です。
いやー、この本がめちゃくちゃ面白い!
本好きでもなかなか気づかないマニアックなことが知れたりします。
例えば、大日本印刷の秀英体開発室のエピソードの中に以下のような説明があります。
漢字は様式化された文字だ。それを活字として彫る作業は、だからこそ職人の技が光った。「口」という文字は「句」や「古」、「号」「合」といった他の文字にも使われている。その全ての「口」は文字のバランスが考慮されながら、少しずつ違っている。何千という字の全てに同じ雰囲気を持たせ、調和させて初めて「秀英体」という書体も成り立っていた。
たかだか口ですよ。一方で、口が使われている漢字ってどれだけあるのかって感じですよね。実は我々が普段読む文章にはそれだけの魂が込められているんです。
そのことに感動できる人は絶対にこの本を買った方がいいです。
今以上に本そのものへの愛着が強くなるチャンスです。
他にも、製本の本場であるドイツに1960年代に渡った方の話や紙の寿命を延ばすために努力された製紙メーカーの話などがわかりやすいオムニバス形式で紹介されていきます。
本の知識なんて生きていく上で別に役に立たないんですが、それでも古い古い時代から世界中で本は愛されてきていて、その連綿と受け継がれてきた本について知ることは私にとっては非常に楽しいことです。
皆様の中にもそのように思ってくださる方がいればぜひ読んでみてください。
ちなみに、就活前に読むのもオススメです。本に携わる仕事というと真っ先に思いつくというか、唯一思いつくのが出版社の人も多いと思います。
でも、実際にはそんなことはありません。そのことを教えてくれる本でもあります。
正直なことを言うと、私自身が就活前に読みたかったと思う本の一冊です。
ベストセラーになるような本ではないので、なかなか書店で見ることも少ないかも知れませんが、自信を持ってオススメできる一冊です。