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クジラの歌

生物多様性の理解と動物福祉の向上を目指して。

【養老孟司/ひとと動物のかかわり/バカの壁】話を煮詰めていくこと。

読書 動物関係

養老孟司。

ご存知の方も多いと思います。

ただ、多彩、多趣味ゆえにどのように彼のことを紹介してよいか迷います。

 

著者略歴紹介には、

医学博士。

東京大学名誉教授。

専門は解剖学。

なんて書いてあるけどしっくりこない。

 

私にとって養老孟司は大ベストセラー『バカの壁』を書いた、虫好きのおっちゃん。

これが一番しっくりきます。

 

そんな養老孟司の書籍を紹介したいと思います。

 

紹介するのはこの2つの本です。

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ひとと動物のかかわり

まず紹介するのは『ひとと動物のかかわり』という本です。

 

『ひとと動物のかかわり』という本はひとと動物のかかわり研究会シンポジウムの記録となっています。

基本は日常生活でのヒトと動物の関わりになるため、ペットロスやペットのQOL等ペットに関する議題が数多く掲げられています。

動物病院の先生や精神科医、アメリカのアニマルカウンセラーらが参加しているシンポジウムなので、ペットに関する様々な観点を取り入れたいという方は是非読んでみて頂ければと思います。

 

私自身は本書を読んで、以前から答えが見えなかったものに対してある一定の答えを見出すことが出来ました。

それはまえがきにありました。引用して紹介します。

「人の心とペット」「ペットロス」「動物のいのち」などの話題については、シンポジウムでも活発な議論が起こりました。「実験動物」の問題もそこに含まれます。こうした問題に正解は無いと私は思っていますが、議論が行われるのは貴重なことです。しばしばこの種の問題は問答無用になってしまうからです。正しい考え方があるという思いは貴重です。それが学問の基礎になります。しかし同時に、具体的な問題については、唯一の正しい答えを要求する態度は、しばしば迷惑です。ここはむずかしいところだと思いました。

唯一の正しい答えが見つからないところでは、人々の行動を上手に規制するしかありません。それが規律や法律ですが、しかしそこまで行く前に、話がかなり煮詰まる必要があります。われわれのシンポジウムが、そうした問題の解決に近づくための参考になれば幸いです。

 

どうでしょうか。

単純明快ではないでしょうか。

 

ここからは動物福祉の話をします。

 

多くの動物愛護団体が、ペットショップの規制強化や殺処分の廃止、またはバタリーケージの廃止等多くのことを叫んでいます。

でもなかなか法改正や規制が進まない。

これは先ほどの言葉を借りるなら、話が煮詰まっていないからだと思います。

 

もちろん、動物愛護団体の方やその話し相手である環境省の方々の間では様々な話し合いがなされているのだと思います。

ただ、今回、私が言いたいのはそういうことではありません。

私が言いたいのは、世論レベルではまだまだ認知されておらず話が煮詰まっていないということです。

 

じゃあ、なんで一般の方々(=世論)が今なお10万頭もの犬や猫がこの日本で殺処分されているという事実に目を向けないのかという疑問がわいてきます。

このことも養老孟司の『バカの壁』から考えられると思います。

 

バカの壁で書かれていること

一部だけ抜粋します。

バカの壁で書かれている最も大きなことの一つは、人は情報のインプットに個人差のある係数をかけているということです。

興味の薄いものにはインプットを減らすために極小の係数をかける。

逆に原理主義的な考え方では無限大級の係数をかける。

ひとはこのようにして、情報のインプットの大きさを勝手にきめているということです。

 

では、先ほどの話に戻します。

 

現状の日本においては、世論レベルで動物に関わる問題の話が煮詰まっていないと書きました。

その原因はそれらの情報そのものが少ないこともさることながら、多くの人が係数を少なくしてインプットを小さくしているのだと思います。

 

それは、一種の自己防衛のカタチからきた可能性もあると思います。

例えば、動物たちが劣悪な環境にいるショッキングな画像を見せることが動物福祉の向上に繋がると信じられている一面も今もなおあるでしょう。

事実、突発的にそれらの画像を見せる行為はネット上だけでなく現実社会でも行われています。

それを鮮明に記憶してしまうことはトラウマにさえ繋がります。

だから人はインプットを小さくする。

それらを思い出してしまうような情報のインプットも拒否する。

そして認知されなくなり話が煮詰まらなくなる。

こういう構図があるのではと思います。

 

じゃあ、そういった人たちをスルーして法改正や規制強化が行えるのかといわれると非常に厳しい。

今の世の中はSNSなどの台頭によって世論のパワーが大きい時代だと思います。

『保育所落ちた 日本死ね』という匿名ブログは実際に日本を動かしたと思います。

それは多くの人のインプットが小さくなかったからだと思います。

 

だから、動物愛護や動物福祉を変えていく際にも、我々は情報の発信方法をもっと変えていく必要があるのではないかと思います。

なるべく多くの人にたくさんの量のインプットを入れてもらうために。

そして世論レベルで話を煮詰めて法改正や規制強化に繋げるために。

 

だから私はこれだけは実行します。

不意打ちでショッキングな画像は見せない。

もちろん知る覚悟がある人には知ってもらいたい。

でもそういった人以外には明らかに逆効果になると知りました。大げさかもしれませんが一生インプットを小さくしたままになってしまう可能性もあります。

今回、養老孟司の2つの本を読んでこのことを確信しました。

 

まとめ

後半は動物福祉の話一辺倒になってしまいましたがいかがでしたでしょうか。

養老孟司の著書は一般市民にも読みやすく、よい気付きを与えてくれると思っています。

今回私が紹介したのは本の本当に一部の紹介です。

ただ、今回は私にとって気付きにとどまらず、一定の答えまでたどり着けたことは非常に大きいことでした。

多くの本に触れても、なかなか答えのようなものまでたどり着けることは少ないです。

 

どちらも新しい本ではないですがどんな方が読んでも様々な気付きが得られると思います。

是非、ご一読ください。

 

ひとと動物のかかわり

ひとと動物のかかわり

 

 

バカの壁 (新潮新書)

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