animal reading

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

サバクトビバッタ長殺し『バッタを倒しにアフリカへ』

ベストセラーというものはときに、一瞬かもしれないが、社会を変える力があると思う。

なぜならば、ベストセラーになった瞬間に、関心の低い人にも手に取ってもらえる可能性が高まるからだ。

 

最近で非常にニッチな分野にも関わらず、何故かベストセラー本になったものと言えば、『応仁の乱』と今回紹介する『バッタを倒しにアフリカへ』という本なのかなと思う。

 

しかしこれらの分野についてこれらの本がベストセラーになる前から関心が合った人なんて皆無のはずだ。

応仁の乱の首謀者とか応仁の乱の大義名分が言える方なんてほとんどおらず、サバクトビバッタっていうバッタがいることも知らない人が日本人口の9割くらいは占めると思う。

 

2017年の上半期はそのハードルを軽く飛び越えていく、ベストセラー本の威力をまざまざと見せつけられた。

 

ベストセラー本の条件というものが何なのかわからない。もしかしたら内容に関係のない部分で決まってしまう場合もあるのかも知れないが、この『バッタを倒しにアフリカへ』という本は本当に面白い。

 

まず、舞台がアフリカのモーリタニアという国。

そして研究対象がサバクトビバッタ。

サバクトビバッタの大量発生による蝗害(こうがい)=神の罰を食い止めるための研究。

 

ただ、これだけのぶっとんだ設定があっても面白くないものは面白くない。

なぜこの本がこんなにも売れてしかも面白いのかというと、この人の狂気に満ちたキャラとユーモアあふれる文章だ。 

例えば、前野さんの夢は、「バッタに食べられること」だそうで。。。

下の写真はブログから拝借した、著者自身がサバクトビバッタに食べられようとしている場面だ。(バッタは緑のものに寄ってくるらしい。)

ちなみに、著者はバッタを触りすぎたせいでバッタアレルギーになってしまったそうだ。

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はてなダイアリーで文章は普段から書いておられるので、興味のある方はそちらを観てほしい。

 

d.hatena.ne.jp

 

この本の書評は多くの方がされているので私からはしない。

ではなぜ、私がこの記事を書いたのかというと、ファーブル昆虫記をよんで虫の魅力にはまって、虫を愛しすぎて虫に食べられたいと思った末に、サバクトビバッタ殺しに変身してしまった著者の心理がヤバ過ぎると思ったからだ。

愛ゆえに愛を捨ててしまったラオウ化のようなもので、日本にラオウが大量発生しないためにもこの心理はきちんと把握しておくべきだと危機感を覚えた。

 

ちなみにもしかしたらこういう心理は、『鳥類学者だからって、鳥が好きと思うなよ』にヒントがあるかもしれないと思い、私は次にこの本を買おうと思っている。

 

今回私は『バッタを倒しにアフリカへ』が日本中でたくさん売れることによって、多くの人が生き物にもっともっと関心を持ってくれたらなと思って買ったのだが、著者のキャラクターが強すぎて、前野ウルド浩太郎自身に関心のほとんどを持って行かれたことは少し悔やまれるところではあったが、大いに笑わせて頂いた一冊となった。