満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

外部と接続する言葉を持っているか否かがwell-informed publicの形成に重要であるということについて

以前、リディラバという社会問題をツアーという形で知り、理解することで解決しようとしている組織を紹介しました。

 

このリディラバの代表の安部敏樹さんはwell-informed public(かしこい世論)を作ることが、長い目で見たら最もインパクトが強くて全体最適を目指せる『ドミノの一枚め』になるはずだとおっしゃっています。

 

僕はこのリディラバという組織の理念に非常に共感しています。というか、僕がブログで動物に対する暴力を減らしたいと言い続けきたことも、このwell-informed publicの形成を目指してきたことに他なりません。

 

ですが、一方でwell-informed publicの形成というのは、世論がまだ知らないことやうまく認識できていないことをきちんと知らしめていくことです。

つまり自分が知っていることを世間に接続していくことです。

 

ここに、well-informed publicの難しさがあります。

 

『相手が知らないこと』

『相手に知ってもらいたいこと』

 

この空白を接続するものの存在が非常に重要である。ということをコルクラボ代表であり、宇宙兄弟やドラゴン桜を編集してきた佐渡島庸平さんに教わったのでこの場で紹介します。

 

佐渡島さんは、外部と接続するためのコンテクスト(文脈)をどれだけ持っているかが、外部のコミュニティと繋がるために重要だと仰っていました。

これはある講演会で、bmx(というマウンテンバイクの競技のようなもの)を広めたいという男性の質問に対して答えられた言葉です。

『そもそも僕にはbmxというものが何かよくわからないので、bmxというものを別の言葉に置き換えてほしい。bmxという言葉が外部と接続していない。リアル脱出ゲームが流行ったのは、リアルという言葉と脱出ゲームという言葉が外部と接続していたからだ。』

 

これ死ぬほど納得したんですよね。そして、何かを伝えたい広めたいと考えている多くの人が知らず知らずのうちに陥ってしまっているのではないかと思います。

 

例えば、僕が伝えたいのは動物に対する暴力の不条理さであり、それを解決していくために動物福祉という言葉を伝えたいと思っているのですが、そもそも福祉という言葉がなんとなくふわっとしていてわかりにくいです。

一方で、動物愛護やベジタリアン、ヴィーガンといった言葉は外部と接続していますが、なんか変な風に接続してしまっています。

ここに、動物に対する暴力の減少ということの困難さがあると改めて気づきました。

 

このように、well-informed publicの形成のためには、まずは言葉を選択し、それを大切に育てていく必要があると思います。

 

このように書いてみれば当然のことなのですが、実際にはとても難しいことでもあります。

でも知ると知らないとでは全然違うので、ぜひ言葉を武器にしようとしている皆さんにも知っておいて欲しいと思います。

 

・参考文献

超個人的なことですが、ぼくは佐渡島さんの本がめちゃくちゃ好きです。本を通して、佐渡島さんの温厚さとか研究者気質が伝わってきます。個人的にはぼくらの仮説が世界をつくるという本がおすすめです。 

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

 

 

こちらが今月に出版されたばかりの本です。コミュニティとはどうあるべきかということについて、佐渡島さんがずっと考えてこられてきたことが書かれています。

外部と接続する言葉を考えて、コミュニティを広げるヒントが詰まっています。今、最も売れているビジネス書の一つでもあるので、ぜひ読んでみてください!

WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜 (NewsPicks Book)