【又吉直樹/夜を乗り越える】表現によって価値観を変容させることが出来ないかと常に考える。
ご存じピースの又吉さん。
とか言いながら正直私は芸人としての又吉さんはあまり知りません。
ただ、本に対する又吉さんの接し方には多大な影響を受けてきました。
又吉さんのまねをしていることの一つが本にブックカバーをつけないこと。
これは以前テレビで又吉さんが『読んでいて恥ずかしい本なんてこの世にないから、俺はブックカバーはつけない』みたいに言っていたことに影響されたからです。
この記事の主題ではないのでこの程度にしておきますが、又吉さんは私の読書の在り方に影響を与えてくれた数少ない人の一人です。
そして、私がこの記事で紹介するのは、芥川賞受賞作品である『火花』ではありません。
最近発売された『夜を乗り越える』というエッセイです。
夜を乗り越えるのメインテーマ
この本の主題は、なぜ本を読むのかということ。
又吉さんは本は賢い人達のためにだけあるものではないといいます。
むしろ、明日からバンドをやろうという人や芸人こそ相性がいいものと考えています。
確かに、表現をするという点で本ほど具体的なものは無いかもしれません。
このメインテーマに寄り添っているのが、又吉さんの幼少期の記憶や太宰治愛です。
本が好きな人でも又吉さんの素朴な人格から見える世界を共有することは大きな意味があると思います。
そして個人的には小説家・又吉直樹が見えるという点で、芥川賞を受賞した火花よりも先に読んでみてほしい本になっています。
表現によって価値観を変容させるということ
私が衝撃を受けたのはメインテーマの部分ではなく、むしろ枝葉の部分です。
ただ、ブロガーさんのように何かを表現する人には是非読んでいただきたいと思いましたので、この場を借りて引用させて頂きます。
僕は社会の問題に対峙する時、どんな時でも、最終的にどうなることが望ましいのかを考えます。そうするためにどうすることが最善であるのか。
対立する意見があり、どちらかの立場で発現することが、本当に自分の望むものになるかというと疑わしいんです。どちらかの立場で直接的な発言をすると、そこに当然起こる反発の声をより大きくしてしまうこともある。
だからこそ僕は、今の時代にみんな共通して感じている気持ちに届くハッとするような表現が必要だと思っています。表現によって価値観を変容させることが出来ないかと常に考えています。戦うことより、何かを実現させることの方が僕にとっては大切なんです。(夜を乗り越えるより引用)
私はこの言葉に触れて、表現する能力をもっと磨いていかないといけないと気付かされました。
社会の問題を考えたときに事実をありのままに伝えることも大切ですが、そのこと自体は私のブログの役割ではないと思います。
無機質な事実を表現によって広く知ってもらう。これからはこのことを大切にしていこうと思います。
まとめ
この夜を乗り越えるという本には本当に多くの魅力が詰まっています。
夜を乗り越えるというタイトルも非常に考えられており、その意味も本書の中で明かされます。
今回の記事では私が一番紹介したい部分のみを紹介しましたが、様々な種類の人が何かの影響を受けられるような本になっていると思います。
本が嫌いな人。
何のためにブログを書いているのかわからなくなった人。
又吉さんが好きな人。
世界を変えたい人。
そんな人に読んでみてもらいたい一冊です。