満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

【感想/図解でよく図る発酵の基本】微生物を利用した圧力コントロール

 

この本を読みました。

私は、大学と大学院では農学研究科に所属しており、

微生物の遺伝子組み換えや代謝工学、発酵生産を主な研究テーマとしていました。

 

会社に入ってからは、なかなか微生物に接する機会が少なくなったもので、

少し懐かしみも含めてamazonで購入してしまいました。

 

 

本の内容は非常に広く浅くといった感じでしょうか。

ただ、この本が変わっている点は、

人間社会に役立つ微生物の働きや微生物そのものの紹介といった内容だけでなく、

遺伝子組み換え法といったバイオテクノロジーの紹介、

さらにその原理の説明まで行われている点です。

 

正直、原理の説明の点はこの本だけを読んで理解するのは、

全くの初心者の方には難しいのではないかと感じました。

 

なので、この本を読んで興味をもたれた方は、更に本格的な書籍を読んでくださいと言ったところでしょうか。

 

 

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

 

 

私が大学で使用していたのはこの本です。

バイオテクノロジーのことを頑張ればゼロからも学べる優れた本だと思います。

興味をもたれた方は是非どうぞ。

 

 

さて、最初の本の紹介に戻りますが、

私は一般の方よりほんの少し微生物の事に詳しいと自負しております。

食品や、薬品、環境ビジネスに利用されている微生物や、

知性があるのではないかと考えられているモジホコリという粘菌のことも、

興味があって調べて知っていました。

 

www.ted.com

 

ちなみに、

このモジホコリという菌のことはTEDに紹介されていますので是非どうぞ。

 

 

そんな微生物好きな私ですが、この本で全く知らなかったことが一つだけありました。

 

それは、微生物を利用した一定空間の圧力の強制増加です。

 

 

大半の微生物は、動物と同様に呼吸をします。

呼吸の結果として、二酸化炭素といったガスの排出も行います。

これも動物と同じですね。

 

驚くべきは、この微生物の呼吸を利用して、

石油が存在する地殻内の圧力を強制的に上昇させ、

石油を取り出しやすくするということです。

 

調べても詳しいことはわからなかったのですが、そんなことが可能なのか。

というのが私のシンプルな感想であり疑問です。

 

確かに、極限微生物と呼ばれる微生物はだいたいどんな環境でも生きていくことができます。

きっと地殻内の高温高圧下でも生きていくことが出来るのでしょう。

 

しかし、微生物の呼吸です。

人間の呼吸量>スズメの呼吸>カブトムシの呼吸>微生物の呼吸

といったように呼吸量は体のサイズに比例すると考えるのが普通です。

 

もしかしたら、ガスを大量に発生させる微生物がおり、

それが人間のコントロール下にいるのでしょうか。

(存在する微生物のうち、人間が飼育できるのは1%以下といわれています。)

 

ただ、微生物による一定空間の圧力のコントロールが出来ると非常に面白いです。

例えば、食品工場等は異物の混入を防ぐために製造現場を陽圧にして、

外部からの虫の飛来などを防いでいたりします。

 

それを微生物の培養で行うことが出来たら電力削減に繋がるかも知れません。

もちろん、微生物は通り抜けできず空気のみが抜けることができる構造の培養機が必要ですが。

 

もっともっと想像力を働かせれば、もっといろんなことができるのでしょう。

微生物の力と人間の想像力に感服です。

今後、また何か分かりましたら、またブログにアップしたいと思います。

 

 

久しぶりにサイエンスの話でした。