自民党が与党にあり、その存在が圧倒的に強いということが最近、自然の摂理のように当然に思えていたので、それらについて勉強した。
勉強の題材にしたのは、元大阪府知事の橋下徹氏の『政権奪取論』という過激なタイトルの本である。
自民党と業界団体との癒着
この本の中で繰り返し語られることの一つが業界団体と自民党の癒着だ。
例として家系学園の問題が挙げられていたので紹介する。
日本では獣医学部がこれまで50年以上にわたり、新設が認められてこなかった。その裏にあるのは、獣医師会の意向だ。獣医師が増えるほど激しい競争にさらされるため、獣医師会としてはその数を抑制した。そこで獣医師会の政治団体「日本獣医師政治連盟」は政治や行政に働きかけ、政治や行政もそれに応え、獣医学部の新設を認めないようにしてきた。
しかし、こうした学部を新設置するには、国会で喧々囂々の議論をして法律改正を行う必要は全くない。「文部科学省告示」というもので獣医学部の新設が制限されているが、これは文部科学大臣が自分の署名だけで、一発で制定・改正できる。国会での議決を得る必要はない。
それにもかかわらず、歴代の文部科学大臣がその告示を改正することができなかったのはなぜか。日本獣医師政治連盟を守るいわゆる族議員や文部科学省の官僚の凄まじい抵抗に、大臣が負け続けてきたということだ。
このような業界の既得権を自民党が打破するのは難しいと橋下氏はのべる。なぜならばこれまで業界団体とがっちりタッグを組んできた政党こそが自民党であるからである。
これを私が関心のある動物愛護関連に当てはめてみる。
自民党のどうぶつ愛護議員連盟の癒着
自民党にはどうぶつ愛護議員連盟というものがある。どうぶつ愛護議員連盟と全国ペット業界の癒着についてFACTA ONLINEというメディアで以下のように述べられている。
「どうぶつ愛護議連」の仮面の下:FACTA ONLINE
(どうぶつ愛護議員連盟について)鴨下一郎議連会長(元環境相)の下、幹事長の任にあるのが山際大志郎衆院議員。獣医師資格を持ち、ペット小売大手「コジマ」(東京都江東区)から政治献金を受ける。同社の会長は、業界団体「全国ペット協会(ZPK)」の会長でもある。事務局長は三原じゅん子参院議員。神奈川県選出の山際、三原両氏の背後には、横浜市を地盤とする菅義偉官房長官の影もちらつく。菅氏の市議時代からの支援者とされるペットショップ経営者がZPK元会長で、強硬な8週齢規制反対派だからだ。
ペット業界の意図としては、仔犬仔猫の方が愛らしく売れやすいので、8週齢規制は避けたいという狙いがあります。それを汲み取ることこそが癒着です。
事実、三原じゅん子氏は過去に多くの陳情・署名が集まっている、犬猫の販売の週齢規制について「テーブルの議論にも上がっていない」と述べ、デヴィ夫人や浅田美代子氏からも批判を浴びていました。
橋下徹氏が述べたような自民党と業界団体の癒着の典型的な例だと思います。そしてそれは自民党内の自浄作用ではなかなか打破できない問題でもあると思います。
だからこそ橋下氏は野党こそが既得権益を打ち破る役割を担うべきだとしています。
やはり野党こそが既得権益を打ち破るべき
橋下氏は自民党は大きく捉えれば「古き良き日本」であり続けることと述べており、これを国民に押し付けるという発想でいると捉えています。
であというれば、野党は「未来を志向している」という新しい道を示し、「国民に選択してもらう」という発想を根底とすべきと述べています。
このように書くと「ポピュリズムだ!」と感じる人がいるかもしれませんが、橋下氏は日本のように教育水準が高く民主主義の成熟した国民がいるならば、正しい政治が導かれるとしており、それは正しいポピュリズムになる。国民が賢い国なら、その大多数の意向に沿った政治がいいに決まっていると述べています。
だから野党は国民のニーズを圧倒的にマーケティングして、国民の意向を取り入れるべきとしています。
おわりに
この本を読んで僕は野党を応援したいと思いました。他方でどの党を応援すべきかというのはまだ見えてきていないので、それはきちんと勉強して行きたいと思います。
ただ一つ言えるのは、自民党のどうぶつ愛護議員連盟は全く信用できないということ。そうではなくて、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の方が数倍信用に値します。
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟 - Wikipedia
まずはこの組織に所属している人の動向をtwitterなどで知っていき、場合によっては応援したいと思います。
動物の問題だけではなく社会問題全般に対して一定の回答がなされている本です。関心のある方はぜひ読んでみてください。