化粧品の新規成分をこれ以上必要としますか?
※ショッキングな動物の写真は掲載しておりませんので、安心して読んで頂ければと思います。
※本文の化粧品という言葉の中にスキンケア用品(シャンプーやボディクリーム等)も含まれると思って読んでいただければ幸いです!
前回の記事。
急に私が化粧品のレビューをしたって、そりゃ信憑性無かったですよね。
でも、一応目的意識を持って読んでいました。
一つは前回の記事でも書いたように、実際に私が肌が弱いから。
もう一つは前回の記事では書きませんでしたが、動物福祉を考えるうえで、
化粧品のことは切り離せないと考えたからです。
この二つ目の理由を前回の記事に載せるか迷ったのですが、
前回の記事はシンプルに化粧品の紹介にしておきました。
(まぁ、若干マネタイズ系の記事を書きたいという下心があったのは事実です。
それを見透かされてか、今までの記事以上に来場者は少なかったです!笑)
ともあれ、今回はかずのすけさんの『科学者がコスメを選んだら』という本をなぜ、
私が選んだのかということを動物福祉の観点から述べたいと思います。
化学物質としての化粧品に対する理解がどれだけ進んでいるのか知りたかったから
これにつきます。
今使われている物質は安全なのか。
新規成分はきちんと評価されているのか。
これらのことが知りたかったのです。
話が前後しますが、化粧品は化学原料の複合物です。
化粧品のもつ人体へのリスクの一つとして、化粧品の原料が人体に危害を与える場合が考えられますので、それについて述べていきます。
化粧品の原料が人体に危害を与える場合
これに関して言えば、昔からずっと使用されてきた原料は比較的安全と言えるでしょう。
かずのすけさんの本でも昔から使われている界面活性剤や防腐剤のリスクはそれほどでもないと述べられています。
むしろ、近年の危害の例を見てみると『本当に危険なのは強力な美白効果や天然由来をうたった新規の有効成分だ』と述べられています。
実際に、近年大きく話題となった化粧品危害は茶のしずく石鹸が引き起こした集団アレルギー事件ではないでしょうか。
茶のしずく事件
茶のしずく石鹸を使用した消費者が小麦アレルギーを引き起こした事件です。
この石鹸には、加水分解小麦「グルパール19S」という新規成分が使用されていました。
更に、この物質に関しては、安全性試験が実施されていなかったとのことです。
以下は余談になります。
化粧品の開発・販売の際に、安全性試験の実施が必須であるかどうかは、調べた限りはわかりませんでした。
ただ、化粧品の安全性評価に関しては『化粧品の安全性評価に関する指針』が日本化粧品工業連合会から発行されています。
ただ、あくまでも化粧品業界の自主規格だと思うので、必須ではないような気がします。
とはいえ、良心的な化粧品メーカーは自社を守ることも含めて、新規成分の場合にはなんらかの安全性試験を実施していると思われます。
新規成分の持つリスクについて理解していただけたでしょうか。
また、天然成分も同様のリスクがあります。
自然界で生きる植物は生き残るために体内に毒を持っていることが少なくありません。
その毒が人体に作用してしまう場合、危害となりえるのです。
天然成分と言えば聞こえはいいですが、そのリスクはきちんと評価されているか、調べてみた方が良い場合もあると思います。
安全性評価と動物実験
安全性評価ときいて思い浮かぶものの一つに動物実験があると思います。
これまで人類は化粧品の安全性評価だけにとどまらず、
ありとあらゆる分野で人類のための動物実験を繰り返してきました。
ただ、世界的に動物実験の廃止運動は進んでいます。
特にEUは化粧品の安全性評価に関する動物実験には非常に厳格な規制を設けています。
段階的に動物実験を規制してきたEUですが、2013年時点で
・動物実験が行われた化粧品の販売禁止
・動物実験が行われた原料の販売禁止
・化粧品への動物実験が禁止
上記以上の規制がなされています。
もちろん新規物質に関しては安全性試験は必須なので、細胞を用いた評価や人体による評価を行っていることでしょう。
ちなみにこの流れは世界を動かしており、日本ではロート製薬や花王等の企業が動物実験の廃止を決定しています。
考えてみてほしいことがあります
一人の消費者として皆さまにも考えてみてほしいことがあります。
化粧品レベルで(医薬品ではないです。)これ以上新たな物質を求めますか?
新たな物質の開発をしなければ、新たな安全性試験もしなくていいです。もちろん動物実験もしなくてもいいです。
おそらく危害に触れるリスクも減るでしょう。
もちろん、企業サイドに思いを馳せれば、新規成分の開発競争に負ければ、
特許を競合他社に取得されてしまう等のリスクもあります。
そのことが原因で売り上げが下がる場合だってあるかもしれません。
こういうことまで考えてしまえば資本主義ということそのものと対峙する必要すらあるかも知れません。
(資本主義の限界はトマピケティが述べているそうです。読んではいないです。)
やっぱり私はこれらのことを考慮しても、動物たちの犠牲の上になりたつ化粧品は求めたくないです。
そのために消費者としてできることは、
・動物実験を行っていない化粧品を使用すること
・むやみやたらと新規成分に飛びつかないこと(これは自身を守ることにもなります)
だと思います。
新規成分がすぐに動物実験に繋がっているわけではないということは百も承知しています。
ただ、細胞実験ではなく動物実験の方がなんとなく信憑性が高いとか、コストが安いとかそういう風に考える方は少なからずいます。
でもそれらも新規成分が普及しなければ、考えなくて良いことになるはずです。
これらのことを踏まえた上で、新規成分原料や新たな機能を持った化粧品を求めますか?
参考にさせていただいたもの
動物実験化粧品の販売、EUで全面禁止に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News