環境省が発表した『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン』を知っていますか?
このプロジェクトの目的は以下の通りです。
動物は、私たちの生活を様々なかたちで豊かにしてくれ、時には家族と同じように、かけがえのない存在です。しかし、無責任な飼い主による飼育放棄、迷子の犬猫、所有者が いない犬猫等、自治体の動物愛護センターや保健所に引き取られる 犬や猫の数は年間21万頭にものぼり、その8割近くが、やむを得ず 殺処分されています。このプロジェクトでは、命を大切にし、やさしさあふれる人と動物が共生する社会の実現を目標に、殺処分をできる限り減らし、最終的にはゼロにすることを目指します。そのために、飼い主、事業者、ボランティア、NPO、行政等が一体となって取り組みを展開推進していきます。
(人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプランHPより)
まず知っておいて頂きたいのは、
このプランは環境省から発表されているということです。
つまり、数々の課題は残されているものの、日本は国を挙げて殺処分ゼロを目指しているということです。
このことを知っていましたか?
このプランはちょうど2年前の平成26年6月に発表されています。
1年前からいくつかの動物福祉関係を調べ、はてなブログでも記事を書いてきましたが、私はこのことを知りませんでした。
私の勉強不足も一つの要因だとは思いますが、
それ以上に、まだまだ一国民には普及できていないのが現状なのかと思います。
日本が今どのような状況にあり、今後どうしていきたいのかという点に関して、
非常に分かりやすくまとまったプランです。
なので、一人でも多くの方に知っていただきたいと思い今回紹介させて頂きました。
前置きが長くなりましたが、内容をちょっとだけ紹介させていただきます。
プランの概要
このプランでは、日本の犬猫に関する『現状』・『課題』・『今後検討すべき事項』の3つの要素を
『飼い主』・『国民』・『ペットショップ/ブリーダー等』・『自治体』・『ボランティア/NPO/獣医師会等』・『企業』・『国(環境省)』の7つの立場から検討しています。
パワーポイントの形式で21枚のスライドにまとめられています。
この記事の最後にリンク先を掲載しておきます。
ご興味のある方は是非そちらをご覧ください。
私が是非行ってほしいと思う検討すべき事項
・犬猫へのマイクロチップ義務化
・第1種動物取扱業(ペットショップ、ブリーダー等)の登録条件の厳格化
・従業員1名あたりの飼養頭数制限、販売後に終生飼養できなくなった動物の引取り制限
・アニマルポリスの導入
もちろん行ってほしいものはこれらだけではありません。
50以上の検討すべき事項がこのプランでは掲げられています。
それらの一つのことがなされるたびに動物達はより幸せに暮らしていけると信じています。
逆に言うと、掲げられた検討すべき事項は今の日本では達成されていないということを理解していただければと思います。
プラン発足の背景
先ほど紹介した、犬猫へのマイクロチップの義務化という要求項目は
実は前回の動物の愛護及び管理に関する法律の改正時に議論され、
ペット産業等で利益を得ている既得権益サイドの反対により否決された案件でもあります。
なぜ、前回(平成24年)の法改正時に既得権益サイドの反発にあったにも関わらず、
『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン』という、
前回以上の要求項目を環境省が発表できたのかということに関して説明します。
実はこのプランは、別名『牧原プラン』と呼ばれています。
プラン発表当時、環境大臣政務官であった、牧原秀樹さんが個人の名において発表したからです。
なぜ、個人の名において発表する必要があったのかというと、
動物愛護法の改正や動物福祉に関する規制を新設しようとすると、
環境省におかれている「中央環境審議会」という審議会の下部組織である「動物愛護部会」を通す必要があります。
つまり、ペット業界の行く末は動物愛護部会が握っていると言い換えられると思います。
その動物愛護部会ですが、ペット業界からの既得権益を重視するが故に、
動物のための組織ではなく、ペット業界のための組織になってしまっているということが実情だそうです。
そんな動物愛護部会という内部の抵抗勢力に阻まれないために、
牧原秀樹さんは個人の名を冠するという、寝技を使ってこのプランを発表したとのことです。
この内容に関しては、本ブログで度々紹介している、
杉本彩さんの「それでも命を買いますか?」という本に詳しく掲載されています。
まとめ
今回はこのプランを一人でも多くの人に知って頂きたいと思い紹介させていただきました。
興味のある方も、できればたまたまこのブログを見たという人も、
日本のペットを巡る状況を知るために、
日本がどのような姿を目指しているのかを知るために、
以下に紹介する『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン』のことを頭の片隅にでも置いておいて頂ければと思います。
参考にさせて頂いたHP・書籍
『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン』HP
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/project/download/actionplan_H26.pdf
人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト~牧原プラン|杉本彩オフィシャルブログ 杉本彩のBeauty ブログ Powered by Ameba
牧原さんからの挨拶
環境省 _ 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト | ご挨拶
杉本彩さんの書籍とそれに関する過去記事
それでも命を買いますか? - ペットビジネスの闇を支えるのは誰だ - (ワニブックスPLUS新書)
- 作者: 杉本彩
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2016/03/09
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