【書評/哲学者とオオカミ】オオカミと暮らすチャンスを手にした哲学者の話
皆さんはオオカミと共に暮らしたことはありますでしょうか?
大半の方は無いと思います。
私もそうです。
というか、ほとんどオオカミに対する知識もないと思います。
お手はするのか?
散歩はどれくらい歩く?
そもそも国内で飼育は許されているのか?
食べ物は?生きたシカとか?
電車は乗れる?
わからないことだらけです。
でももし、オオカミと共に暮らすチャンスが巡ってきたらどうしますか?
考えてみてほしいです。一度。本気で。
あり得ないことを考え抜いてみることも何かの役に立つと思います。
そして、そんなチャンスをものにした哲学者が書いた本がこちらです。
- 作者: マークローランズ,Mark Rowlands,今泉みね子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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哲学者とオオカミという本です。
タイトルにあるとおり、哲学者の著者が人生を変えるチャンスを手にして、
ブレニンという名のオオカミと一緒に暮らす話がメインになります。
その内容だけで非常に面白いです。
このブログの冒頭でオオカミに対する疑問をいくつか並べてみましたが、
著者も我々と同じような知識量でオオカミと暮らし始めました。
共に暮らして学んだことは、
①ブレニンは一人にしてはいけない。
一人にしてしまうと家じゅうのものを破壊する。
なので、大学教授でもある著者はブレニンを講義にも連れて行くことにした。
②オオカミの飼育が禁止されている国がある。
ただ、多くの人はオオカミを見たことが無いので、
マラミュートという犬種にしておけば何とかなる。
もちろん、多くの人はマラミュートも知らない。
※マラミュートは結構犬っぽい風貌をしています。
なんか、オオカミみたいにとがってなくてモフモフって感じです。笑
③大きい犬にはライバル意識を持つが、小さい犬には慈しみの心を持つ。
もっともっと心に残るエピソードがあります。
ただ、さすが哲学者だけあってそれだけでは終わりません。
オオカミ自身のものの考え方。
オオカミから見える世界の洞察と言い換えても良いのかもしれません。
それらと対比した人のあり方。
著者はオオカミと対比したヒトの考え方をサルという風に一貫して呼んでいます。
オオカミは一瞬を生きることが出来るのに対して、
ヒトはそうはできない。
なぜなら、ヒトは未来に対する時間の投資が他の生物とは比べ物にならない。
例えば、今我慢して勉強していい大学に行けば、将来いい収入がゲットできるとか。
それゆえに、死はヒトから多くの物を奪うかの用に見える。
オオカミにとっての自身の死は、それ以上でもそれ以下でもないのに対して。
こんなことがわかりやすく書かれています。
これがただの哲学の本だったら絶対に面白くなかったハズですが、
この本は特別です。
動物を愛する全ての方にこの本を読んでいただきたいです。
わたしからもこの文章をもってブレニンに捧げます。
最後に、もし私にオオカミと共に暮らすチャンスが巡ってきた場合、
正直暮らせないと答えます。
無理な理由なんて誰でもいくつでも思いつきます。
なので結局、覚悟がないなんです。
でも、その将来は誰にも得がたいほどの幸せが待ち受けていると思います。
そんな気持ちにさせてくれる本です。
是非、一度読んでみて頂ければと思います。
また、オオカミ関係の記事を書きましたので、興味のある方は是非ご一読ください。