【感想/ウルフウォーズ】イエローストーン国立公園にオオカミを再導入するまでの闘いの軌跡
オオカミの話の二つ目です。
こちらの本を読みました。
ウルフ・ウォーズ オオカミはこうしてイエローストーンに復活した
- 作者: ハンク・フィッシャー,朝倉裕,南部成美
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: 単行本
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アメリカのイエローストーン国立公園から姿を消したオオカミを
再導入しようというお話です。
さて、今回も皆様に質問です。
種の保護はどのような力が働いて達成されるものだと考えますか?
愛?
情熱?
種の保存という遺伝学的見解?
人間としての当然の義務?
メリット?(オオカミは異常繁殖したシカを捕食する等)
これはきっとどれが正解なんてないと思います。
動物愛護に心血を注ぐ方々は、『愛』最も適しているのでしょうし、
科学者にとってはそのDNAやライフスタイルにこそ意義を見出すのでしょう。
実際に、この本の著者は多大な情熱を持ってオオカミの再導入を目指しますが、
その根底にあるものは、愛ではなく義務感のように感じました。
では、次にその種の保護の障壁となるものを想像してみてください。
お金?
利権?
危険性?:
オオカミの繁殖力?
私はこの本を読む前はこのようなことを想像していました。
しかしながら、オオカミ再導入に当たって最も大きな障壁となっていたのは
法や条例でした。
さらに踏み込んで言うと、それらを選挙に利用する政治家たちでした。
私を含め、多くの方はオオカミにさして興味がないと思います。
きっとこのブログを読んでくださっている多くの方もそう。
きっと政治家もそうです。
そんな多くの政治家にとってオオカミ再導入という
市民活動は自分の人気や票に繋がるかどうかが最大の焦点となるようです。
(どれだけその政治家が信念や善良さを持ち合わせていたとしても、
政治家というのは人気集めという点から逃れられない運命だと私は考えます。)
こういった生物をめぐる政治のことをバイオポリティクスというそうです。
人気獲得なんかが種のあり方や運命を決定してよいのかという憤りを感じますが、
政治の持つパワーが必要なのも事実なのでしょう。
言いすぎかもしれませんが、必要悪というか。
実際、本書の中でも政治家の(人気獲得をもくろんだ)条例改定の動きによって、
オオカミ再導入の話は急速に進みます。
オオカミの話がメインの記事ではなくなってしまいましたが、
バイオポリティクスに関心のある方は読んで損は無いかと思います。
あとは動物愛護に関心のある方。
バイオポリティクスの中にオオカミだけでない、犬や猫の救助に繋がる
なにかを見出すことができるかもしれません。
また、アメリカでもオオカミは絶滅の危機に追い込まれましたし、
日本ではニホンオオカミが絶滅しました。
アメリカのその舞台裏を知るという意味で関心のある方は
読んでおいても良いかと思います。
余談ですが日本にもオオカミ協会があります。
興味のある方はこちらもご参照ください。
(私は協会員ではありません。)
また、前回私が書いたオオカミの記事も合わせて参照していただければ
幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。