評論への架け橋としての小説。私にはもう小説を読んでいる時間はない。
「私にはもう小説を読んでいる時間はない」とは立花隆の言葉です。
立花隆はwikipediaにこう紹介されています。
立花 隆(たちばな たかし、本名:橘 隆志 1940年5月28日 - )は、日本のジャーナリスト・ノンフィクション作家・評論家。知りたいという根源的欲求は人間にとって性欲や食欲と並ぶ重要な本能的欲求であると位置づけ、その強い欲求が人類の文化を進歩させ科学を発達させた根源的動因と考える。その類なき知的欲求を幅広い分野に及ばせているところから「知の巨人」のニックネームを持つ。
私が今一番尊敬している人です。
その知的好奇心の広さ・深さ、その記憶力は本当に常人を凌駕しています。
もし、これから教養を身につけていきたいという人がいれば絶対に立花隆をオススメします。
その中でもオススメの本はもう何度も紹介した立花隆の書棚という本。難しいこともわかりやすく書いてくれている。そして立花隆の乱読に触れることができる。
読んでみてほしい。知的好奇心が痛いくらい刺激されるから。
そんな人が、述べた言葉に驚愕した。
『私にはもう小説を読んでいる時間が無い』
そう思う日が自分にも来てしまうのかと思うと少し寂しくなった。
小説は確かに勉強という面では費用対効果の薄いものであるかもしれないが、正しく感じることが出来れば小説だって十分役に立つと考えている。
むしろ世界に広く訴えかけるためには小説は非常に高度な伝達媒体だとも感じる。実際に世界で最も売れた本の上位のほとんどは小説だ。
さらに言えば、評論を通じて本が好きになる人間などほとんどいないと胸を張って言える。(私はセンター国語の評論をかなり多く取り組んだ過去があるが、全編通して読みたいと思うような文章は一つもなかった。たとえそこに立花隆の文章があったとしても)
しかしながら教養や知識を得るための最短の方法は教養のための本を読むことである。しかし、評論はとっつきにくい。
そこで、評論へのとっつきにくさを解消するのが小説の役割なのではないかと考えている。
まずは小説を通して、空想の世界の物語を楽しみつつ文字を追う能力を養い、いずれ何らかのきっかけをもって評論の世界を知る。
そういう役割が小説にはある。だから小説は素晴らしく、そしていつの世にもその時代にあった小説が必要とされるものなのだと思う。
そしてその役割を個人で果たしてきた小説家には本当に感服している。
だから、私は小説を見捨てるような思いには呑み込まれたくないと考えているのだが、やはり何かを得るためには何かを犠牲にする必要があるのも心理の一部であり、その時に小説を切り捨てるというような非情な選択が自分にも課される日が来るのではないかと恐れおののいたのである。
そんな日に「もっと小説を読んでおけばよかった」と後悔しないように今から読書をたくさんしておきたいと思うし、その中にちゃんと小説も入れておこうと思う。
そして皆さまも胸に刻んでほしいのだが、人が一生にできる読書の量には限りがある。(もちろん人が一生に吸える煙草の量にも限りがあるのだが。)
ただ、頭のいい人や人生で長期的に成功している人のほとんどは読書をしている。
だから、読書をしよう。小説を読もう。書を捨てて街に出たってすることなど無いのであれば、家にこもって読書をしよう。
それは全くかっこ悪いことじゃない。それを証明している先人はたくさんいるのだから。
響~小説家になる方法~にとって綿木りさの蹴りたい背中は必然だと思う
響~小説家になる方法~という漫画が2017年の本屋大賞に選ばれた。
高校の文芸部を舞台にしている稀有な漫画である。
その中で描かれる主人公の響は小説を書くことに天賦の才を持っている、普通の高校の文芸部員だ。(ちなみに響のキャラクターはかなり偏っており、それがこの漫画の人気の秘訣だと思う。)
その響の世界には芥川賞も直木賞もある。人気小説家もいれば一発屋のような小説家、何年もアルバイトをしながら芥川賞を狙う小説家もいる。
彼らと触れ合いながら、その多くの場合、圧倒しながら響の生活は送られる。そんな小説界と学園生活の二面を描くのが響という漫画だ。
ただ、響という漫画を読んだ方の中には私と同じような疑問を抱いた人も多いと思う。
女子高生が書いた小説など大したことがないのではないか?
人生経験もないのに大人を感動させる小説が書けるわけない。
所詮、漫画の世界の話だ。
そう思うのも無理もないと思う。なぜなら現実世界で女子高生が書く小説が旋風を起こすことなどほとんどないのだから。
でも、私の記憶に引っ掛かる人物がいた。
綿木りさという小説家だ。
そして、この綿木りさという小説家と蹴りたい背中という小説が響の世界に奥行きを持たせる上で必然だと思うのである。
なぜならば綿木りさは現実の世界で、19歳のときに蹴りたい背中で芥川賞を受賞した女流作家だからだ。これは響の世界と同じくらい現実味がないが、しかしながら響の世界と違うのは現実という点である。
蹴りたい背中の冒頭の3ページを読むだけでもその感性に圧倒される。
そして、響の世界は嘘じゃないと気付く。19歳でもこんな文章が書ける人がいるのだからと。
だからこそ響という漫画が好きな人にとって蹴りたい背中は必然だと私は思う。
本当に最初の3ページを読むだけでもいいので是非、手に取ってみてほしい。
きっと響の世界に今まで以上に共感できるはずだ。
家庭でできる!環境問題対策や動物保護のための簡単な取り組み。
環境や動物たちとの共生ということを考えるとどうしても我慢が必要だと考えがちだ。節電するとか肉を食べないとか。
でも、そういうことは他人が強制してどうにかなるものじゃないと思うし私が目指すところではないです!
だから今回は環境とか動物たちのために我慢じゃなくて能動的にしかも簡単に取り組めることを紹介したいと思います!
[目次]
①洗剤!
フロッシュ!
生分解性の洗剤です。
(旭化成HPより引用)
微生物を専攻していた私にとっては、この生分解性がどのような微生物を用いてどのような条件で行われたのかが気になるところではありますが、何も考慮していない洗剤よりは間違いなく良いと思います。
使用感としては、普通の洗剤と変わらず使いやすいです!
川や海を少しでも汚染から守ろうではありませんか!
②シャンプー!
ネイチャーズゲート!
とりあえず動物実験していないやつ使っときましょう!
ネイチャーズゲートは東急ハンズとかにも売ってるおしゃれシャンプーです。
少し価格が高いですがラベルにも動物実験をしていないと明記している珍しいシャンプーです。
使用感も全く問題なく、むしろ低価格帯のシャンプーよりも香りも良く私は重宝しています!
香りも複数選べて楽しいシャンプーです!
③募金!
偽善でもなんでもいいから募金しろ!って書いていたのは水野敬也さんの大ベストセラー『夢をかなえるゾウ』です。
動物の保護を訴える方や、盲導犬の募金活動はよく街頭で行われていると思います。
そんなときに、小銭でもいいので募金してみてはいかがでしょうか。
私は街頭募金を見ると小額でも募金するようにしています。その金額自体には大きな意味がないことはわかっているのですが、その行動が募金活動を行う方や募金をしようかどうか迷っている方の背中を押すんじゃないかと思っています。
そしてあわよくば夢をかなえちゃいましょう!
④平飼い卵!
動物福祉の向上のためにも動物たちにとってよりよい環境で飼育されたプロダクトを口にしましょう。
平飼い卵については以下の記事をご参照ください。
平飼い卵だけは、集約的畜産に対抗できる数少ないの能動的行動だと思います!
(先述したように、肉に対する対抗手段の主となるのは不買運動だと思うからです。)
これも少し価格が高いです。ですが、少しのコストを払うだけで多くの鶏が良い生活を送れるようになるのです。
まとめ
どうでしたか?
我慢以外の方法で環境や動物たちのためにできることを少しだけ紹介させていただきました。
洗剤を変えるだけ。シャンプーを変えるだけ。ほんのちょっと募金をしてみるだけ。卵を変えるだけ。確かにこれまで以上に少しお金はかかるかもしれませんが、取り組み自体は簡単に行えます。
もし、これだったら取り組めそうというものがあれば是非取り組んでみてください!
池田晶子『14歳からの哲学』は考える能力を身につけるための素晴らしい本だった。
八重洲ブックセンター本店という東京駅を代表する私の大好きな書店があります。
以前そこを訪れた際に没後10年池田晶子ブックフェアという催しが開催されていました。
社会科学に関心のある私としては池田晶子という人がどんな人かそのときから気になっていたので、14歳からの哲学という本を購入しました。
その本が素晴らしかったので今回は紹介したいと思います。
14歳からの哲学入門
池田晶子氏は哲学者、文筆者として紹介されることが多いですが、なんといってもその特徴は若者に向けて書かれた平易な文章です。
本書は14歳に向けて書かれた本ということだけあって、非常に優しい言葉遣いで語りかけるように書かれています。。
しかしながら、書いてあることは決して子どもを侮ったようなことではありません。子どもも立派な大人だということを考えながら書かれた本ということがよくわかるような内容になっています。
おそらく池田晶子氏が望んだのはこの本を100%理解することじゃなくて、この本を通じて普段考えないことを意識するようになることだと思います。
それを本文を紹介しながら伝えていきます。
メディアと書物
(テレビについて)人が死んだりビルが倒れたりしている映像を見ることは、君にとってどんな意味があるかしら。
衝撃的、刺激的、つまり見たいからみているということだね。これは、テレビが無かった時代に人がよその火事を見に走る心理と同じ。つまり野次馬根性だ。でも、他人の不幸を刺激にするのはあまりいい趣味じゃない。その証拠に、(刺激的な番組の)次に始まる下品なお笑い番組なんかを見て、平気で人は笑ってるだろ。戦争からお笑いまで、全部が一律に電波で流されるから、人は、大事なことと大事でないことの区別がつかなくなっちゃうんだ。
情報は変化するものだけれども、知識というのは決して変化しないもの、大事なことについての知識と言うのは、時代や状況によっても絶対に変わらないものだということだ。
賢い人々が考え抜いてきたその知識は、新聞にもネットにも書いていない。さあ、それはどこに書いてあると思う?
古典だ。古典という書物だ。いにしえの人々が書き記した言葉の中だ。何千年移り変わってきた時代を通して、全く変わることなく残ってきたその言葉は、そのことだけで、人生にとって最も大事なことは決して変わるものではないということを告げている。それらの言葉は宝石のように輝く。言葉は、それ自体が、価値なんだ。だから、言葉を大事に生きることが、人生を大事に生きるということに他ならないんだ。
言葉の価値を知らずにいるから、最近は人々が本を読まない。
しっかり考えて、賢い人間になりたいのなら、やっぱり本を読むのがいい。むろん、どんな本でもいいというわけじゃない。本物の人が書いた本物の本だ。メディアの策略で流行になっているような本は、まず偽物だ。だまされないように、見る目を鍛えて。
絶対に間違いがないのは、だからこそ、古典なんだ。古典は、考える人類が、長い時間をかけて見抜いた本物、本物の言葉なんだ。消えていった幾銭の偽物、人の心に正しく届かなかった偽の言葉の群の中で、なぜその言葉だけは残ってきたのか、はっきりとわかるとき、君は、いにしえの賢人たちに等しい知識を所有するんだ。これは、ネットでおしゃべりするなんかより、はるかに素晴らしいことじゃないか。
※14歳からの哲学入門より引用
これらの言葉の中で私が最も印象に残っているのは『戦争からお笑いまで、全部が一律に電波で流されるから、人は、大事なことと大事でないことの区別がつかなくなっちゃうんだ。』という言葉です。
人が大事なことと大事でないことの区別がつかなくなってきているのかどうかはわかりませんが、これはテレビの大きな特徴で、本とは明らかに異なると感じました。
YOUTUBEなんかも断続的なのかもしれませんが、HIKAKINを見て、悲しいニュースを見て、はじめしゃちょーを見て、っていうことはおそらくないだろうから、やっぱりテレビだけが明らかに異質です。
その中でもやっぱり本が他のメディアと異なるのは時間の篩に耐えてきた古典があるということです。きっとYOUTUBEや他のメディアも時間の篩には耐えるだろうけど、100年後にも見返される映像ってほとんどないのかもしれません。
そういった意味を含めて、池田晶子氏は長く受け継がれてきた本を読んで、その知識を得て欲しいと言ったのだと思っています。
僕自身、例えばドストエフスキーなんかを読むと何十年も前に生きた名も無いロシア人たちと心を通わせているような、そんな気持ちになったりもします。
おわりに
この本は難しい哲学者の難しい言葉が出てくるわけではなくて、生きていく上で重要なこと考えることを哲学と呼んでいて、そのことに本気で対峙した本です。
本書を手に取れば自分一人では考えつかなかった考え方や、素晴らしい言葉に出会うことができます。
子どもだけでなく、大人にとってもたくさんの発見がある本です。ぜひ読んでみてください。
【感想/貯金生活】お金と読書の関係性について考える【横山光昭】
はじめての人のための3000円投資生活という本がベストセラーになっています。
この本もすべきことが単純明快に示されているので、凄く取り組みやすい本です。
その3000円投資生活の著者であり、家計再生コンサルタント/ファイナンシャルプランナーである横山光昭さんの年収200万円からの貯金生活という本を読みました。
- 作者: 横山光昭
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 39人 クリック: 716回
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こちらの本の方が出版されたのは前なのですが、こちらも非常にamazonでの評価が高い本です。
で、こちらも貯金をするに当たってのすべきことを簡単に示してくれるので非常に取り組みやすいです。
横山氏は、個人によって立っているお金ステージが異なると述べます。
そのお金ステージとは、
第1ステージ:お金を管理する。
第2ステージ:お金を学ぶ。
第3ステージ:お金を活かす。
貯金生活はお金を管理するというステージについて詳しく書かれています。
そして、この本を読んでレベルアップしてから3000円からの投資生活を読めば良いと私は思います。
で、なぜ私がこんな畑違いの本を紹介しているのかというと非常に面白い文章を発見したからです。
本書ではお金をためるためのプログラムの一つとして本を読むことが推奨されています。
その理由が面白かったので引用します。
現場で見ていると、おかねを貯められない人には何かを知りたい、習得したいといった意識が低い傾向を感じます。「お金」と「学ぶこと」には密接な関係があるのです。何かを意欲的に学ぼうとしない人には、お金に対してもネガティブなのです。生き方までが消極的ならば大損をしています。あらゆるものに対する無関心や無気力、惰性、卑屈な態度が結果としてお金を失わせるのです。すこしずつでも行動を変えていきましょう。
お勧めは本を読むことです。お金に関する本でなくてもOK。本には言葉があります。その言葉には、著者がこれまで経験して学んできた「考え」が凝集して盛り込まれています。その体験や提案を活かしてもらおうという著者の熱い思いが注ぎ込まれているわけです。その集大成を感じ取れる読書は気軽な「学び習慣」です。
どうでしょう。引用した言葉はもちろん一般論ではない部分も膨れています。
お金の管理のプロから見た読書観というものに触れることはめったにないと思い紹介させて頂きました。
実際、色んな角度から読書のことを考えている私にとって、非常に稀有でしかもためになる観点からの読書論でした。
私はお金の本というのはこれまであまり読んでこなかったので、この本に書かれている内容が正しいのか、面白いのか、簡単なのか、変なのか、正直言って他の本と比較して語ることはできませんが、お金の本の読者の初心者として読んだときに非常に面白い本だと感じました。
単に、お金を増やすということに留まらず、自身の習慣から変えていけるような本になっていると思います。
お金を貯めたい、お金をためれる人の考えに触れたい。そういったことに興味がある方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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ペットが迷子になってしまったときに備えてペット探偵に頼むということを絶対に頭に入れておいてください。
つい最近、ペットが迷子になった直後のことについて考えを巡らせたことがありました。
というのも先日、家の半径20km以内くらいの場所で犬が失踪したというツイートが流れてきて、少しだけ探してみたことがあったからです。
(その犬は無事飼い主さんによって発見されたみたいです。)
そこで飼い主が失踪直後に取るべき行動について、大きく2つのことが思いう込んだので述べさせていただきます。
①ペットの行動範囲の把握
これまでペットが迷子になったときのために迷子札やマイクロチップを装着した方が良いと考えていましたが、改めて考えると車の通行量の多い場所等で見失ってしまった場合には最初に取る行動が非常に大切になると体感しました。
ただ、例えば犬を飼っている人でも自分の犬が失踪した場合にその犬がどのような行動を取るのか。
1日にどれくらい移動することがあるのか。
このようなことに関して知らない場合がほとんどではないでしょうか?
私自身も先日迷子犬を探した際に、どのくらいの範囲を探していいのか分からず、やみくもにその20km先の失踪地点まで自転車でウロウロしながら探しに行くという非常に非効率な探し方をしてしまっていました。
実際には中型犬や大型犬の1日の移動距離は1~5km程度とされているため、私の取った行動が如何に無駄が多いものかわかると思います。
だから、ペットの飼い主さんはペットが失踪した際に取るであろう行動と、一日の行動量くらいは頭に入れておいた方が良いと感じました。
②ペット探偵の存在を知っておくこと
これも迷子犬の捜査の中で知ったことでした。
世の中には迷子のペットを探すことを専門的な仕事にしているプロの方がいます。
SNSを見ていると、『迷子になった⇒SNSで拡散して探してもらおう』という流れに乗る場合が非常に多く、もしかしたら意識がSNSばかりに向いてしまわれる方がおられるかもしれませんが、やはりプロに頼むほうが発見率は高まると思います。
この後、ペット探偵の方が書かれた本の紹介をさせていただきますが、その方はペットの発見率は7割以上と述べられています。(明言はされていませんが恐らく死亡したペットを発見した場合も発見としてカウントされていると思います。)
7割という数字が高いのか少ないのか比較対象が無いのでかイメージしにくいですが、
私は直感的にこの発見率はすごく高いと思います。
お金はかかりますが、ペットと再会するためにはペット探偵に調査を依頼するということを少なくとも頭に入れておくべきだと思います。
書籍紹介:ペット探偵は見た!藤原博史
ペット探偵を行っておられる方が本を書かれていたので早速読みました。
まずは著者の紹介から。
藤原博史。ペットレスキュー代表。1969年、兵庫県生まれ。幼少のころから無類の動物好き。ホテル、工場、漁業などさまざまな職業を経て、迷子になったペットを探す「ペット探偵」に天職を見出す。1998年に「ペットレスキュー」を設立。今までに捜索したペットは2000匹を超え、発見率は7割以上。
本の帯には1日20キロを歩くこともザラ。ビルからビルへ飛び移り、マンホールに入ることも。と書かれています。
本書は、藤原さんが実際に行った捜査が20例以上紹介されていて、(中にはクモやヘビの捜査もあります)その中でペットの失踪においてはどのようなことが考えられるのか、飼い主とのやり取りはどのようなものなのか、藤原さんがどのような思いでこの仕事に取り組まれているのかということが紹介されていきます。
(より実用的なことを言うと、どのようなシチュエーションで失踪が発生するのかということも知ることができます。)
本書を読むだけでもペット探偵の仕事は非常にハードであり、著者自身も述べているように、今まで多くの動物好きの方が志を共にし弟子入りを志望してやって来たが、ほとんどの人が3年続かなかったと述べています。
それでもペット探偵の仕事のことを著者はこう述べます。
本書ではペット探偵という職業の大変な面ばかりを書いてきました。確かにキツイ、汚い、危険といった3K労働に加えて、ドロドロした人間模様に出くわすことがあるのも事実ですが、それを上回る感動があるのも、また事実です。
人相手の探偵の仕事だと、どうしても浮気や身辺調査等の後味の悪いものが多いですが、このペット探偵の仕事は基本的には依頼者に感謝されて終わる、ッピーエンドの仕事です。前述の通り遺体で見つかるなど悲しい結末を迎えることはありますが、それでも、の調査と違って遺恨が残ったりすることはありません。
ペットの方も好きで迷子になっているわけではなく、帰りたくても帰れなくなっていることがほとんどですから、飼い主さんのところに戻れたらホッとしていることでしょう。さすがに動物たちから面と向かって感謝されることはありませんが、それでも、迷子になっていたペットと飼い主さんが再会する場面は何度経験しても感動的でいいものです。
だからこそ15年間、こうしてこの仕事を続けてこられたのだと思っています。
最初はどうせ大した本じゃないと思いながら読み始めた気持ちがあったのは事実ですが、本書を通じて感じられる藤原さんの誠意や思いが非常に心地よかったこと、またペットとの再会が如何に素晴らしいものかということを感じることが出来た1冊でした。
巻末には基本的なペットの捜索ノウハウもまとめられています。これを頭に入れておくだけでペットとの再会の可能性がぐっと上がると私は信じています。
なお、ペットレスキューのHP(迷子ペットの捜索---ペット探偵「ペットレスキュー」)にも捜索ノウハウは書かれています。書籍の方が詳しい内容が書かれている印象を受けましたが、まずはHPの方をご覧ください。
自分のペットは迷子とは無関係とは思わず、大切なペットを守るためにも一度本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?
参考
迷子札の重要性については過去に記事にしておりますのでこちらも合わせて読んでいただければ幸甚です。