満月なのでご紹介します。

社会問題(特に動物問題)と読書のブログ

忙しさや時間のなさが共感のような大切な感覚を奪っているかもしれない。

長らく動物愛護・福祉のことを書いていきました。

 

その中で感じてきたことの一つが、『犬や猫の殺処分を減らそうという考え方は倫理的に考えて明らかに正しいのに、なぜいまいち共感が得られないのだろうか』ということでした。

 

このことについて私なりの2つの答えが見えてきたのでそれを紹介したいと思います。

 

 

私たちが動物を殺す理由

私たちが私たちのために動物を殺す場合には大きく分けて2つの場合が考えられると思います。

①人にとって有効活用できるので殺す場合

人が食べるために命を頂戴する。あるいは、衣服・漢方・動物実験に使用する等です。

 

②人にとって有害なので殺す場合

田畑を荒らす、伝染病を感染させる恐れがある等です。

 

この2つのパターンに関しては、多くの人が積極的に反対はしないと思います。むしろ、無意識の内に賛成している場合がほとんどでしょう。

私も、彼らの生活環境については今よりももっともっと考慮する必要があると思いますが、大きく反対はしません。

 

では、犬や猫の殺処分はどうでしょうか。

①人にとって有用だから殺すというのは当てはまりませんね。

②人にとって有害だから殺すというのは一見あてはまりそうです。捨てられた犬や猫長期間を飼育するには相当のコストがかかる。だから殺処分は正しいという考え方です。

これはどうでしょうか。

犬や猫が殺処分されているのは、野生の犬や猫が大繁殖しているからではありません。人が販売するために大量生産して、売れない、あるいは飼えなくなった犬猫が保健所に送られ、殺処分されている場合がほとんどです。

こう考えていくと根本の原因は人間にあるので、②も私は本質的には成り立たないと考えています。

 

余談ですが、現在動物保護団体や一部の行政の活動によって、捨てられた動物たちの殺処分は減ってきています。ですが、ペットの流通の上流に位置するブリーダーや販売者をこの状態のまま放置していることが根本原因だと考えられています。

だから、多くの見識ある方々がこの上流の規制を強めたいという意識を持って動いています。

詳しくは『犬を殺すのは誰か/ペット流通の闇』という本を参照してください。

 

なぜ動物愛護・福祉が浸透しないのか

さて、動物の殺処分は人にとって有用でもなければ、有害だから殺処分しているのでもないということがわかりました。

そうであるならば、綺麗事ではありますが、殺処分はやはり誰のためでもないわけで、もっと多くの人が認識を改め努力すれば無くせる可能性が高いものだと感じるのではないでしょうか。少なくとももっと大幅に減らせるはずです。

 

 

ですが、ほとんどの人が動物の殺処分に関心がない。

その原因の一つが、私たちの余裕がないことであり、もう一つが動物の殺処分というネガティブなものに携わりたくないという考え方なのではないかと感じました。

以下にその理由を述べていきます。

 

①私たちの余裕がないことについて

これは動物福祉ではなく、貧困問題に貢献している湯浅誠氏の『ヒーローを待っていても世界は変わらない』という本に書かれていました。

単純に言って、朝から晩まで働いて、へとへとになって九時十時に帰ってきて、翌朝七時にはまた出勤しなければならない人には、「社会保障と税のあり方」について、一つ一つの政策課題に分け言って細かく吟味する気持ちと時間がありません。

子育てと親の介護をしながらパートで働いて、くたくたになって一日の火事を終えた人には、それから「日中関係の今後の展望」について、日本政治と中国政治を勉強しながら、かつ日中関係の歴史的経緯を紐解きながら、一つひとつの外交テーマを検討する気持ちと時間がありません。

だから私は、最近、こう考えるようになりました。民主主義とは、高尚な理念の問題というよりはむしろ物質的な問題であり、その深まり具合は、時間と空間をそのためにどれくらい確保できるか、という極めて即物的なことに比例するのではないか。

 

 

湯浅氏は多くの人が社会が抱える問題に目を向けれないことを意識の問題ではなく、時間がないこと、話し合う空間が無いことが問題だと述べています。

著書ではその問題を解決することは非常に難しい問題ではあるが、そのような場所と時間を作ることこそが自分たちの役割なのではないかと書かれています。

 

このことは動物の問題についてもあてはまると思います。多くの人が共感できるであろう殺処分の廃止についてなかなか共感が得られなかった一因は時間も空間もなかったことなのでした。

しかも私たちが抱える問題は動物のことだけではありません。保育園の問題や貧困などの問題を抱えながらなんとか時間を確保したとして、はたして動物たちのことを思える人がどれだけいるでしょうか。

これが動物の問題でなかなか共感を得られない一つの理由です。

 

これも余談ではありますが、私はこのことを知ってから、会社から早く帰ることにあまり罪悪感を持たなくなりました。

それどころか仕事の効率を上げて少しでも会社から早く帰ることが社会問題の解決につながると信じられるようになりました。

会社から早く変えることが難しい場合も多くあるとは思いますが、このような考え方を持ってみるのも大切だと思います。

 

②ネガティブなものを見たくないという精神

①で述べたように私たちには時間があまりありません。このことも日本が抱える問題の一つといってよいでしょう。

では、その時間のないなかでネガティブなものに目を向けたいでしょうか。

目を向けたくないのが現実だと思います。

しかも『死』というのは非常に強烈です。しかし、動物問題の多くの場合、それは苦痛や死に終着します。疲れ果てた中でそのことを学び、共感することのハードルの高さは考えてみれば当然でした。

そんなものを目にするくらいならば、何も考えずにバラエティ番組を観たりする方が人間の心理として正しいと思います。

だから動物問題に関心の薄い人を巻き込むためには、ネガティブなもの(例えば、動物たちが如何に悲惨な環境に身を置いているのか)ということを伝えるのだけではなく、救われた動物たちが如何に幸福な生活を送っているのか伝える。このことが重要になってくるのではと思いました。

 

まとめ

長らく感じてきた動物問題がなぜ共感を得られないのかということについて私なりに分析してみました。

この記事を読み返してみても、残酷な描写や画像の添付はしていないにしても、殺すという文字や死という文字がたくさん使われていて、ネガティブよりになってしまったなと少し反省しています。

ですが、3連休のなか日という私たちに余裕のある今日この記事を書いておきたいと思いました。

2年間くらい動物のことを書いてきましたが、この記事を書き終えて一つの集大成のようになったなと感じています。

私の記事が何かのヒントとなって、動物問題が少しでも進展することを願います。

 

参考文献

 

記事中でも少し触れさせていただいた本。ネガティブ満載なので、本気で動物の問題を知ろうという人以外には少しオススメできない。

でもこの本ほどにペット流通の闇を深く取材した本は無いと思うので、関心のある方は覚悟が出来たら読んでみてほしいと思う。

殺処分を廃止したい人にとっての必読の書だと思っています。

 

 この記事を書くきっかけになった本。著者の湯浅誠氏は貧困問題に立ち向かう社会活動家ではあるが、日本の社会問題を考える上でのキーパーソンだと思う。

社会問題に興味がなくとも、民主主義ってなんだろう。どういうところに問題があるんだろうという疑問を持っている方がいれば是非読んでみてほしい。

きっと今まで考えてきたこともなかった民主主義の問題が見えてくるはずだと思う。

 

動物の問題を考える上で、最もポジティブな本の一つだと思う。表紙からして悲痛な感じは全くない。

この本は動物法を日本とアメリカで学んだ経験を持つ学生が書いた本です。本庄萌さんという方なのですが、アメリカ、ドイツ、イギリス、スペイン、ロシア、ケニア、香港と日本の計8カ国のアニマルシェルターを見て感じたことが書かれています。

世界の進んだアニマルシェルターではどのように動物が生かされているのか、どのように人に対する啓もう活動が行われているのかということを知る上で非常に重要な本になっています。

ほとんど残酷な描写はなく、日本を含め多くの人が動物たちを救うためにどのような工夫をしているのかということなどが書かれています。

ちなみに表紙の犬は、後ろ足が不自由にも関わらず、専用の道具まで作ってもらって元気に走り回っているそうな。

2017年5月に発売されたばかりの本なのですが、このような本が出てくるあたり、やはりポジティブなものが社会問題を解決する上で重要と捉えられてきたのではないのかと思っています。

ほんの少しでも動物の問題について考えてみたいという人がいれば、まず最初に読んでみてください。

田舎にも本屋が欲しい!そして本屋や書店員さんに投資をしたい!!!

田舎に住んでいる。

本屋が無いことだけに関しては本当に苦労している。

 

 

田舎の本屋

あるのはゲームショップとフロアを二分化したような本屋で、本屋のうちの1/2が雑誌で、1/4が漫画で、残りの1/4が文芸書って感じだ。

 

するとどうしても欲しい本はamazonで買うか、週末に都会に出てたくさん本を買って帰るようなサイクルになってしまう。

 

だから田舎の本屋がすたれる。

 ↓

だから欲しい本はamazonで買う。

 ↓

本屋がすたれる。。。

 ↓

悪循環。

 

本屋のこと

いやいや私だって書店の厳しさは知らないわけじゃないんですよ?

書店ガールを1冊読めば今の本屋がどれだけハードなのかわかる。体力的にも経済的にも。

 

あるいは、重版出来を読めば出版社の方や作家の方がどれだけ頑張っているかわかる。 

私が本屋で本を買いたい理由

だから書店に行って本を買って、特に書店員さんにお金が回るようにしたいと思っています。多分、人一倍思っています。

識字率がほぼ100%の日本に暮らしていると感じることもありませんが、識字率が低い国や地域の子どもたちにとって、本は宝物であり、本を読めるようになることは何よりも誇り高いことなのです。

だから、本に携わる仕事は将来にたくさん残してあげておきたいんです。

これが私の考える社会のためのお金の使い方のひとつです。

 

でも、その本屋がない。あっても欲しい本がある可能性が低い。。。

残念ながらそれが田舎の現実です。

 

学力と本の関係性

私はそこそこ偏差値の高い大学に行っていましたが、(急に何を言う)、そこにいる人たちに共通したことはよく本を読むということでした。

私が所属していたのもバイオテクノロジー関連の学部でしたが、それでも中学・高校・会社にいる人と比べて明らかに読書が習慣になっている人が多かったです。

 

田舎は都会に比べて学力が低くなる傾向にあるという調査も目にしたことがあります。

もちろん、有名な塾や予備校、あるいは学校が無いというのが直接的な要因だとは思います。

しかし、その学力差が本屋の数と関連すると考えるのは、あながち的外れではないと思います。

 

最後に

田舎にいる人たちも自分たちの子どもたちの将来のためにも、手に入る本は出来る限り地元の本屋で買おう。

こうすれば誰も損しないので。

 

そういう取りとめのない話でした。

でも、大切だと思います。

 

 

イケダハヤトさんが寄付する優しい理由をしっていますか?

寄付のことをグーグルで調べていたら、こんな記事に行きつきました。

ぼくが継続的に寄付している団体と、寄付先を選ぶ基準について

 

この記事、実はブロガーならほとんどの人が知っているイケダハヤトさんが書かれた記事です。

 

私自身はブログによるマネタイズはそこまで興味がなかったので、イケダハヤトさんのことはほとんど興味がありませんでした。(正直、今もそんなに興味は無いです。)

そんな私のイケダハヤトさんの情報としては、いつも炎上している。なぜか多くのブロガーが目の敵にしている。カネの亡者っぽく言われている。

こんなところでしょうか。

 

でも私は単純なので、イケダハヤトさんが寄付をしているというだけで一気に共感が湧きました。

繰り返します。

カネの亡者っぽいイケダハヤト氏、寄付をしている。

 

リンク先にはイケダハヤトさんの寄付先も記載されていますので関心のある方は、覗いてみてください。

 

そして、イケダハヤトさんいいこと書くなぁー。と思った一文があったので紹介したいと思います。

NPO業界の課題としてあるのは、すばらしいことをやっている人たちが、薄給であることです。スタッフへの給料が低いだけでなく、「給料がなくて新しいスタッフを雇えない」ということも頻繁にあります。いやー、よくないと思うんですよ。報酬はちゃんともらわないと。いい人集まってこないですから。

微力な努力ですが、ぼくがNPOに積極的に寄付するのは、NPO業界の給与水準を向上させたいからでもあります。「会社に就職・転職するように、NPOに就職・転職する」ような時代が早く来ないと、日本はヤバいと思っております。

まさにその通りだと思うのですが、一体日本人のうちどれだけの人がNPOの給与水準について危惧しているだろうということです。

逆にいえば、給与がいいだけで日本の社会運動は一気に進むと思うのです。

例を挙げると、途上国の、本を読めない子どもたちのために図書館を15,000室以上作り、女子児童の識字率を向上させる支援をしているroom to readという団体の代表、ジョン・ウッドは元マイクロソフトの社員です。

その奮闘記は『マイクロソフトでは出会えなかった天職』という本に詳しく書かれています。

 

 やはり思うのは、本当に優秀な人がよりよい社会の実現に関心が無いわけないということです。

 

だからイケダハヤトが寄付を行う理由については非常に共感できます。そしてこのことのみでもイケダハヤトさんは私にとって尊敬に値する方だと思いました。

是非皆さまも成功しているブロガーのマネタイズの部分だけじゃなくて、こういった優しい一面も理解していってほしいと思います。

 

ちなみに記事の中で紹介されていた駒崎弘樹さんの『社会を変えるお金の使い方』という本も必ず買うと決めました。

余談ですが、駒崎弘樹さんは病児保育という社会問題に取り組んでいるフローレンスというNPOの代表です。

働くお母さんにとって子どもが病気になったときの対応が大きな問題となっていましたが、駒崎さんの働きによって病児保育が広く認識されるようになったのだと思います。

もちろん、フローレンスが専門とするのは病気の子どもを預かる活動です。

その団体の立ち上げに関する奮闘記が本になっています。駒崎さんがどのような方か知らない人はまずはこちらの本を読んでみてほしいと思います。。

 

 

『堀江貴文/多動力』に書かれた、ホリエモン流猫の殺処分防止方策が興味深い。

ホリエモンこと堀江貴文氏の『多動力』と『好きなことだけで生きていく』を一日で読んだ。

 

実際には、朝、『多動力』を読んでそれが面白すぎたので、その日のうちに『好きなことだけで生きていく』を買って読破した。『好きなことだけで生きていく』も非常に面白かった。

 

ホリエモンの本と言えば、『ゼロ』は大好きで3回くらい読んだ気がする。

ただ、そのあとに読んだ『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』が面白くなかったので、ホリエモンの本からは遠ざかっていた。

 

しかし、繰り返すが『多動力』と『好きなことだけで生きていく』は非常に面白い。

まぁ、この二冊に書いていることは本質的には同じで、とにもかくにも色んなことに好きなことに一歩を踏み出せということが書いてあるだけだ。ただ、

とてつもない説得力とともに。

 

現状に満足していない人がいれば是非読んでみてほしい。

どちらを買えばいいのかわからないという人は両方買うことをお勧めするが、僅かな差を書くならば、『多動力』は多方面に動くためのスキルや持つべきメンタルについての記載が多いように感じた。内容を考えるとビジネスマン寄りの人に向けた本だとも感じた。

対して、『好きなことだけで生きていく』は堀江貴文イノベーション大学校のことを中心に書かれている。そこで行われるエキサイティングな物事が話題の中心だったように感じる。

まぁ、どちらを買ってもそんなに大差はない気がするが、内容はかぶっていないので両方読んで理解に厚みを持たせることをお勧めする。

 

さて、タイトルにも記載した、堀江氏の考える猫の殺処分への方策を紹介したい。

本書を読む限り、堀江氏はもともと猫の殺処分に関心を持っていたわけではなく、HIUの参加者から「ネコの殺処分は、かわいそうなのになんで影響力がある人はもっとこの問題について意見を発信しないのか」という質問を受けたことから始まる。

だから非常に少ない時間で考えられたことだろうし、内容はきっと精査されていないが、アイデアとして非常に面白かったのでそのまま紹介したい。

・ネコ好きの人に呼び掛けてクラウドファンディングで資金を集める

・ネコ好きのタレントや芸能人にも、インフルエンサーとしてPRしてもらう

・クラウドファンディングによって集めた資金を使い、無人島を丸ごと買い取る

・保健所にもちこまれて殺されるはずだったネコを、その島に避難させる

・その島でネコ好きのためのイベントを仕掛けたり、ツアーを企画する

・外国語表記のウェブサイトを作ったり、英語や中国語しか使えない人も遊びに来られるような態勢を整え、海外のネコ好きも島に呼び込む

・島への入場料及び収益をネコのエサ代や新たなネコの引き取り費用に充てる

無人島であれば外部の環境とは完全に断絶されるから、近隣住民にも迷惑をかけることもないし、環境に悪影響も及ぼさないだろう。他にもっと情報が集まれば、その分アイデアも増える。

(堀江貴文/多動力より引用)

 

いままでたくさんの動物愛護・福祉に関する本を読んできたがこんな発想をしている人はいなかった。だから単純に凄いと思った。

ただ、この点に問題を挙げるとすれば、その無人島の生態系はきっと変わってしまうことになるということ。ネコを殺さないということのために無人島の生態系を壊す覚悟があるかどうかということは問われると思う。

このように検討すべき事項は少なからずあるが、多くの人に本気度を見せる意味でもこの方策は実施してみる価値があるかもしれないと感じた。

 

もうひとつ、今回の堀江氏の提案に対して言いたい事がある。今回の堀江氏の提案はは捨てられたネコを生かすための方策だが、捨てられるネコを減らす方策についても述べて頂きたいと感じた。

ペット産業という捨てられる生命を生み出すシステムを変えることが、不幸な命を生み出さない何よりの方策だと動物に愛情を持つ人の全員が認識しているからだ。

 

もしかしたらペット産業についても既に他の著作に述べられているかもしれない。ということで堀江氏の著作を読みあさることが決まった。

そこに記載がなければ、私から直接聞いてみたいと思う。本気で。

 

 

 

動物の屋内展示をどう思いますか?

ピエリ守山の屋内動物園が問題になっています。

また、多くの人が優しい気持ちをもって苦しんでいる動物を救いたいと動いてくれています。

 

昨日もそのことで記事を書かせて頂きました。

caffeyne.hatenablog.com

 

しかし、本能を活かしにくい生活を強制させられている動物たちはまだまだたくさんいるのが現状です。

そして、不幸な動物を作ってしまいやすい動物展示施設の条件というものが確かに存在すると思います。

 

私はそのうちの一つが動物の屋内展示だと思います。

今、問題になっているピエリ守山のめっちゃ触れる動物園も商業施設内にある屋内型の動物展示施設です。

 

そして、私が思い浮かぶ屋内型の展示施設がもう一つあります。

それは、大阪にあるニフレルという動物展示施設です。そこには、独りで暮らすアクアという名前のホワイトタイガーがいます。

 

www.youtube.com

 

見てほしいのはこのブロックで囲われた無機質な棲みかです。

そして屋内展示なので、風を感じることも太陽の光も浴びることもありません。そのような環境でいったい何を楽しみに生きていけばよいのでしょうか。

私にはこのような環境で幸せに暮らす動物をイメージすることができません。

(実際、twitterでニフレルと検索するとかわいそうという言葉が予測変換で出てくる時期がありました。)

 

動物園は人を楽しませるという良い面もありますが、動物の一生を檻の中で過ごさせるという長期的な残酷さも持ち合わせています。

何も考えなければめっちゃさわれる動物園やニフレルのような住環境を作ってしまい、動物たちに不幸な暮らしを強いてしまうことがあります。

 

だからこそ我々は動物福祉を追求していく必要があると思います。

そのことを踏まえた上で、私が動物園に求めたいことがあります。

 

私が動物園に求めたいこと

できる限り彼らの本能が発揮されるような環境に身を置くこと。

最低限、風を感じたり太陽光を浴びれるような環境が必須だと思います。

家で飼っている犬だって猫だって、なぜか日向ぼっこをします。彼らにはそれが必要なのでしょう。しかしほとんどの屋内展示ではそれすらできません。そこで得ることが出来るのは人工照明のonとoffの繰り返しだけです。

 

この自然の光や風を受けられないという点で屋内展示はほとんどの場合、私は認めたくありません。例えばたまに散歩してあげるだけでも全然違うと思うのですが、現実的に猛獣を散歩させるなんて無理です。

日光や風を得るという当然の欲求も満たせてあげれないならば、それはその命に対して無責任にもほどがあると思います。

 

孤独を感じさせないようにすること

群れで暮らす動物を単独で飼育することは論外です。

また、人が遊び相手になってあげれないくらい危険な動物を単独で飼育することもやめてほしいです。動物たちに孤独を感じさせてしまうことはやはり辛いです。

ホワイトタイガーは単独で生活するとwikipediaにも記載がありますが、それぞれの動物が生涯にわたって本当に単独でいたいのか、ということに関してはきちんと考える必要があると思います。

もしかしたら動物園という特殊な環境では単独を好まない種もいるかもしれません。少なくとも東武動物公園では複数のホワイトタイガーが一緒に暮らしていました。

 

おわりに

これだけ考えても必然的に狭い飼育スペースになる屋内展示は動物の基本的な欲求さえ満たしにくいのが現状だと思います。

商業施設に併設することで客寄せパンダ的な効果を発揮するのかも知れませんが、倫理的に考えられた動物の飼育を考えてほしいと思います。

そこには本当に重い責任が伴うはずです。

実は、めっちゃさわれる動物園もニフレルも非常に新しい動物園です。日本でも少しずつ高まりつつある動物福祉の向上に明らかに逆行した、これらの施設を私は認めたくありません。

どうか、少しずつでいいので彼らの住環境の改善をお願いしたいと切に願います。

 

『国の偉大さと道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかる』これはマハトマガンジーが残したとされる言葉です。

 

日本はどうでしょうか?

 

僕たち自身の動物に対する思いやりが、幸せな動物を増やす風土を作っていくと思います。

是非、一度考えてみていただければと思います。

 

参考文献

このブログで何度も紹介させていただいている、動物の本能を大切にした動物園の飼育員さんの物語(ノンフィクション)です。

日本にも素晴らしい動物園もあります。

どうか全ての動物園で彼らの本能を満たすような取り組みがなされることを願います。

動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー (集英社文庫)

動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー (集英社文庫)

 

 

ピエリ守山のライオンを救え。SNSによるズーチェックにこそ動物福祉の未来を感じる。

今、twitter上で話題になっている動物園とそこで飼育されているかわいそうなライオンを知っていますか?

 

www.huffingtonpost.jp

 

 

3日前ピエリ守山という施設のめっちゃ触れる動物園という屋内動物園で飼育されているライオンがかわいそう文字がtwitterを駆け巡りました。

そこには自傷行為を行ったとされる額に血が付いたライオンの画像も掲載されていました。(添付したニュースサイトで見ることが出来ます。)

そのツイートは現時点で1.5万以上のリツイートがされており、そしてネットニュースに掲載されるまでに至りました。

 

このことに関連する多くの人のコメントを読んでいると多くの優しい人がこの動物園の運営の異常性に怒り、動物たちを助けたいと叫んでいます。

私はこういった人たちの心の動きに感動すら覚えました。

なぜなら、日本は世界的に見て動物福祉(この言葉の意味は後ほど説明します。)の後進国とされているからです。事実そうだと思います。

過去にはヨーロッパでどうしても飼育できなくなったキリンを日本で引き取ると声を挙げたときに、動物への配慮がされない日本の動物園には渡せないとして、結局殺処分にしてしまった事例もあるほどです。日本の動物に対する態度はそれほどまでに劣悪であるとされていました。

そのようなことを考えると、日本人の動物に対する態度も非常に良い方向に向かってきたのではないかとこの一連の流れから感じました。

 

そして、今回の事件(あえて事件と呼ばせて頂きます)に関心のある全ての方に知っておいてほしいことがあります。

それは、動物の幸福な生活を追求することを『動物福祉』と呼ぶことです。

また、動物園動物の動物福祉がどのようなレベルにあるのかということをチェックする機能を『ズーチェック』と呼ぶことも知っていてください。

 

動物愛護という言葉は知っていても動物福祉という言葉はなかなか聞きなれないと思います。ですが、現在非常に多くの人が多くの場面で動物福祉の向上を試みています。

今回のツイートもまさに動物福祉の向上を求めたツイートであり、そして多くの人がそのことに賛同したという点で非常に大きな意味があるのではないかと思います。

 

そしてズーチェックについてですが、日本のズーチェックは基本的には行政が行うことになっています。しかしながら、一公務員ができるズーチェックには限界があります。

普段、劣悪な飼育環境にしてしまっている運営も行政のズーチェックが行われる日くらいは綺麗な環境を偽装することは充分可能です。

だから私は今回のことを受けて、日本におけるズーチェックは不特定多数の人間がSNSを使用することで機能していくのだと感じました。そしてそのことが動物福祉そのものを向上させ、日本人の動物愛護の情操を育てていくのだと感じました。

サラリーマンをしながらでも学生でも一つのツイートが動物たちの生活を大幅に変える可能性があります。拡散することだって充分に動物たちの力になります。こんなに素晴らしいことはないと思いませんか?

 

また、今回の事件を踏まえて、行政や動物運営サイドがどのような対応をするのかということは今後の日本の動物たちの命運を握るといっても大げさではないと思います。

なぜならば、2017年は動物愛護法の改正の年だからです。

動物たちのためにどうかこの一年間だけでもいいので動物愛護法に関心を持っていてほしいと思います。

動物たちを今よりももっともっと快適で幸せな生活が出来るように、産まれてきてよかったと思ってもらえるように、私たちにできることはたくさんあるはずです。

 

今回事件は非常に不幸なことであり、リオン君の生活が改善されることを願ってやみません。

ただそれにとどまらず、これを機に多くの人が動物福祉の改善に気持ちを向けてくれればと思います。

 

参考文献

もし動物たちの置かれている状況に興味のある方がおられたら伊勢田さんの『マンガで学ぶ動物倫理』という本がオススメです。伊勢田さんはれっきとした学者であり、その知識を活かして倫理的に動物の置かれている状況を説明してくれます。

こちらは、動物福祉を考慮した飼育環境を作ろうと闘う飼育員さん達の物語です。素敵な本過ぎて、このブログでも何回も紹介させて頂いている本。

日本にも素晴らしい動物園はたくさんあるので、そのことも是非知っていてほしいです。この本では4つの動物園が紹介されています。お近くにあれば是非足を運んでみてください。

 

 本の感想も過去に書いています。

caffeyne.hatenablog.com

 

 実際に、動物翻訳家を読んで紹介されている動物園にも行ってきました。

caffeyne.hatenablog.com

 

 続編の記事も書きました。

caffeyne.hatenablog.com

 

 

 

動愛法改正のためにできること

探せばネット署名等もあるのでそれらも参照してみてください。

ただ、それ以上にまずは政治に関心を持ってみてください。動物愛護なんて多くの政治家にとって取るに足らない事象かもしれませんが、心ある方は真摯に動愛法の改正に向き合ってくれています。

そのような人たちを応援することもよりよい動愛法への立派な取り組みだと思います。

また、忘れてはいけないのが今回のようなSNSでの拡散です。

どんなものでもいいので、まずは自分たちのできる範囲のことから取り組んでいきましょう。